1 :名無しさん: 2014/09/23(火)21:50:57 ID:pNHPvgSWd
本当は過去のいろんな名馬や騎手、名勝負について書いてくつもりだったんだが、
一頭の馬について書き始めたらその馬のことだけで長くなりすぎたので
とりあえずその馬についてだけ書こう思う



4 :名無しさん: 2014/09/23(火)21:52:32 ID:pNHPvgSWd
タマモクロス(1984年生、1987年デビュー)
古い競馬ファンなら誰でも知ってる有名馬だけど
最近のファンや競馬知らない奴がどの程度知ってるかは分からん

とりあえず「緑のマキバオー」や「風のシルフィード」の
モデルにもなった馬

no title




7 :名無しさん: 2014/09/23(火)21:53:48 ID:pNHPvgSWd
とりあえず血統から
父シービークロス(重賞3勝、GI勝ちは無し)
母グリーンシャトー(6勝、重賞未出走)
どっちも内国産馬で、大した繁殖実績もない
まあぶっちゃけ地味な二流血統だな



8 :名無しさん: 2014/09/23(火)21:54:05 ID:qA0jl22EB
生産牧場倒産したとこか
妹もエリ女取ったのにな



10 :名無しさん: 2014/09/23(火)21:55:08 ID:pNHPvgSWd
>>8
ミヤマポピーな
結果的に偉大な母だったわけだ



9 :名無しさん: 2014/09/23(火)21:54:19 ID:pNHPvgSWd
80年代当時は今以上に海外血統が重要視されてて、
内国産ってだけでB品扱いな時代だっただけに
なおのことタマモクロスは低評価だった

後に父シービークロス、母グリーンシャトーともに活躍馬を次々と輩出して
良種牡馬&名牝の評価を得ることになるんだが
それはまだ先のお話



11 :名無しさん: 2014/09/23(火)21:55:42 ID:pNHPvgSWd
線も細くて貧相なうえに見栄えの悪い斑の芦毛(かつて芦毛馬は走らないというジンクスがあった)
そんなわけで幼駒時代のタマモクロスの評価はお察しの通り
セリで付いた値段はたったの500万円
これ数千万~億の値もつく競走馬の世界では破格の安さね



12 :名無しさん: 2014/09/23(火)21:56:13 ID:pNHPvgSWd
生産者の錦野氏はシービークロスの種牡馬入りにも尽力した情熱の人で、
そのこだわりもあってタマモクロスには並々ならぬ期待を寄せていた
なのでこの低評価に納得がいかず、一度は売却を拒否したんだわ
しかし錦野牧場は零細&チャリンコ操業で、経営は火の車
背に腹は代えられないってことで泣く泣く500万で売却されましたとさ



13 :名無しさん: 2014/09/23(火)21:56:22 ID:t5wVFn3aD
ライスシャワーはやりますか?



15 :名無しさん: 2014/09/23(火)21:57:40 ID:pNHPvgSWd
>>13
書こうと思ったがとりあえず今回はタマモクロスさんのことだけ


>>8も言ってるように錦野牧場はその後
タマモクロスの活躍を待またずにあえなく倒産、錦野家の一家は離散
母グリーンシャトーも他の牧場に売られて死んでしまい
牧場主の錦野氏は全国を転々とする日々という過酷な運命をたどる
おいおい昭和かよって
まあ昭和なんですけどね



14 :名無しさん: 2014/09/23(火)21:56:32 ID:hw4YcvLYU
ライスシャワースレかテンポイントスレ



17 :名無しさん: 2014/09/23(火)21:58:11 ID:pNHPvgSWd
>>14
テンポイントについても書きたかったがまた今度ってことで



18 :名無しさん: 2014/09/23(火)21:58:48 ID:pNHPvgSWd
さて、タマモクロスに話を戻そう
2歳になったタマモくんは栗東の小原厩舎に預けられたんだが
こいつがいかんせんヒョロッちいわ弱っちいわでなかなか仕上がらない
ようやくデビューにこぎつけられたのは3歳の春3月、おっそ!
3歳クラシック目前という時期ですよ

で、結果は7着



19 :名無しさん: 2014/09/23(火)21:59:20 ID:pNHPvgSWd
2戦目は4着、
3戦目でようやく初勝利をあげるも
4戦目はスタート直後にズッコケて
落馬競走中止という失態を演じてしまう

その後はダートを中心に使われ続けるも
連敗に連敗を重ね、
気付けばクラシックシーズンも終盤にさしかかろうかという3歳秋の時点で
8戦1勝、400万下条件(当時)が定位置という
なんつーかもう見事に「お値段どおり」の凡馬ぶり



20 :名無しさん: 2014/09/23(火)21:59:59 ID:FoqrBD6qb
シービーはどこだ



22 :名無しさん: 2014/09/23(火)22:00:57 ID:pNHPvgSWd
>>20
ウイポやりまくってるけどそのムービーちゃんと見たことない


落馬で競走中止して以来、芝は避けてたんだけど
ジョッキーがそう言うなら・・・・・ってことで
南井の助け船によって首の皮一枚つながったタマモクロス
次走の9戦目では芝のレースに使われることに

そしてこれが
タマモクロスにとって大きな転機となる
NHKの松平定知っぽく言うと
「歴史が動く“その時”」というやつ



21 :名無しさん: 2014/09/23(火)22:00:06 ID:pNHPvgSWd
陣営も半分サジを投げかけて、
こりゃもうアカンね、そろそろ障害レースにでもおろそうか
なんて諦めモード
が、ここで主戦騎手の南井克巳からこんな進言が
「最後にもっかい芝で使ってみませんか?
 こいつ芝のほうが走りそうな気がするんです」

後に三冠馬ナリタブライアンを筆頭に
数多くの名馬とコンビを組み“ファイター”の異名をとった南井だが、
この当時はまだGI未勝利の中堅ジョッキーにすぎなかった



24 :名無しさん: 2014/09/23(火)22:01:55 ID:pNHPvgSWd
崖っぷちで迎えた9戦目の400万下条件・芝2200m
なんと2着に7馬身差をつける大楽勝

あまりに見違えるような圧勝ぶりに
小原調教師いわく「狐につままれたようだった」そう



25 :名無しさん: 2014/09/23(火)22:02:34 ID:pNHPvgSWd
続く10戦目・藤森特別(400万下)芝2000m
またもや8馬身差で圧勝(ちなみにこの翌週が菊花賞だった)

さらに11戦目・鳴尾記念(G2)芝2500m
格上挑戦&初の重賞&古馬混合
にもかかわらずまたまた6馬身差で圧勝!
しかもコースレコードのおまけつき

デビューから半年近くモタモタしてたくせに
圧勝に次ぐ圧勝(7馬身・8馬身・6馬身&レコード)で3連勝
いくら芝のほうが合ってたからって急変しすぎ



26 :名無しさん: 2014/09/23(火)22:03:23 ID:pNHPvgSWd
さらに明けて4歳、中山金杯(G3)芝2000m
このときはスタートで出遅れて道中最後方から進み
最後の直線だけで15頭ごぼう抜きという驚異的な末脚で勝利する
https://www.youtube.com/watch?v=lFAFDTqEAfg&feature=player_detailpage#t=149


しかもインを突いて馬群を右へ左へ縫うように捌いて抜け出すという離れ業
これで4連勝(重賞2連勝)



27 :名無しさん: 2014/09/23(火)22:04:21 ID:pNHPvgSWd
お次は天皇賞の前哨戦・阪神大賞典(G2)芝3000m
ここでは前方が壁になる不利を押しのけてゴール前ダイナカーペンターに並び、
重賞ではきわめて珍しい1着同着
タフさと勝負根性を見せつけてこれで5連勝(重賞3連勝)



28 :名無しさん: 2014/09/23(火)22:04:54 ID:pNHPvgSWd
そして迎えた天皇賞・春(G1)芝3200m
堂々1番人気におされたタマモクロスは
中断から直線に抜け出し、粘るランニングフリーとメジロデュレンを
並ぶ間もなく抜き去って快勝、ついにG1ウィナーの勲章を手に入れる
ちなみにこれが小原厩舎にとっても南井騎手にとっても初のG1タイトルだった
https://www.youtube.com/watch?feature=player_detailpage&v=2LvHiN1Hgzc#t=152


これで6連勝(重賞4連勝)



29 :名無しさん: 2014/09/23(火)22:05:35 ID:pNHPvgSWd
さらに余勢を駆って臨んだ宝塚記念(G1)2200mでは
マイルの帝王ことニッポーテイオーを子供扱いする盤石の強さ
https://www.youtube.com/watch?feature=player_detailpage&v=lo9sAraK43Q#t=92


これで7連勝(重賞5連勝)



30 :名無しさん: 2014/09/23(火)22:05:42 ID:5A7u1It3C
トキノミノルもやるだろ?



31 :名無しさん: 2014/09/23(火)22:06:52 ID:pNHPvgSWd
>>30
すまん、やらない


当時のJRAの重賞連勝記録はメジロラモーヌがマークした6連勝
タマモクロスは目下のところ重賞5連勝で、次走は天皇賞・秋(G1)
これに勝てば連勝記録に並ぶと同時に、史上初の天皇賞春秋連覇の達成となる
(まぁ天皇賞は1983年まで勝ち抜け制だったので物理的に連覇は不可能だったんだけどね)



32 :名無しさん: 2014/09/23(火)22:09:03 ID:pNHPvgSWd
そしてこの天皇賞・秋でタマモクロスは
最大のライバル・オグリキャップと対決することになる

オグリキャップは地方の笠松競馬から中央に移籍してきて、このとき連勝街道を驀進中
タマモクロスより1歳下ながら一足先に重賞6連勝の記録を打ち立てていた
そんな怪物オグリとついに天皇賞で相まみえることに



33 :名無しさん: 2014/09/23(火)22:09:48 ID:pNHPvgSWd
参考までに3歳時のオグリがどれだけ強かったかっつーと、こんな感じ
https://www.youtube.com/watch?v=-ad9HjFuD5w&feature=player_detailpage#t=54


重賞をほとんど持ったままの手応えで圧勝
勝ちタイム1.34.0も当時の3歳春としては破格



34 :名無しさん: 2014/09/23(火)22:10:52 ID:pNHPvgSWd
タマモクロス vs オグリキャップ
かたや重賞5連勝含む7連勝中、こなた重賞6連勝中(地方含めたら14連勝中)
どちらも当年無敗、どちらも芦毛馬、どちらも後方からの差し馬
当時の競馬ファンはこの二強対決にめちゃくちゃ盛り上がった
1番人気オグリキャップ
タマモクロスは休養明けぶっつけがマイナス評価となって2番人気



35 :名無しさん: 2014/09/23(火)22:11:19 ID:5A7u1It3C
芦毛最強時代の2頭だもんな



36 :名無しさん: 2014/09/23(火)22:12:47 ID:pNHPvgSWd
レースはタマモクロスが大方の予想に反して
好スタートから大胆な先行策
直線でオグリの追い込みを待って仕掛け、そのまま完封
http://youtu.be/97Wz1CVyYqA



8戦して1勝しかできなかったヒョロガリの安馬が
才能開花して一気に8連勝(うち重賞6連勝、G1を3連勝)を飾り
強敵オグリさえも降してついに日本競馬の頂点に立ったのでした



38 :名無しさん: 2014/09/23(火)22:14:27 ID:pNHPvgSWd
ちなみにこの破竹の連勝を続けていたとき、
表彰台の「馬主」のところは常に空席だった

しかし錦野家はこのタマモクロスの活躍のおかげで
家族もまた再会して一緒に暮らせるようになったそう



39 :名無しさん: 2014/09/23(火)22:15:32 ID:pNHPvgSWd
その後のタマモクロスは
ジャパンカップではアメリカ代表ペイザバトラーの2着に敗れるも
日本馬最先着で面目を保ち(オグリキャップは3着)

spそて連戦で力尽きた有馬記念では
遂にオグリキャップの2着に敗れ
最強馬の地位をオグリに託すようにして引退

バトンを受け取ったオグリは翌年の秋、
競馬史に残る連戦&名勝負を繰り広げてファンを熱狂させ
空前の競馬ブームの立役者となるんだがそれはまた別のお話



40 :名無しさん: 2014/09/23(火)22:16:26 ID:pNHPvgSWd
引退して種牡馬入りしたタマモクロスは
父内国産不遇の時代にあってカネツクロスやダンツシリウスなど
数多くの重賞勝ち馬を輩出し、種牡馬としても高く評価された
残念ながら産駒から後継種牡馬が出なかったため
孫世代に血を残せなかったが惜しまれる

書き溜めぶんはこれでおしまい



41 :名無しさん: 2014/09/23(火)22:17:18 ID:5A7u1It3C
いや、ここは
TTGだろ



42 :名無しさん: 2014/09/23(火)22:18:13 ID:qA0jl22EB
マイソールサウンドとタマモイナズマ好きだったな



43 :名無しさん: 2014/09/23(火)22:18:39 ID:pNHPvgSWd
テンポイントやトウカイテイオーもいいが
次はキョウエイプロミスについて書かせてくれ



44 :名無しさん: 2014/09/23(火)22:22:15 ID:pNHPvgSWd
ここからは書き溜めてないので簡潔になってしまうが

キョウエイプロミスはとにかく相次ぐ怪我でなかなか力を発揮できない馬だった
2歳夏にデビューしたものの初勝利は4戦目
明け3歳でやっと2勝目をあげるもクラシック戦線には無縁のまま
3歳夏には故障、1年の長期休養を余儀なくされた



45 :名無しさん: 2014/09/23(火)22:25:49 ID:pNHPvgSWd
ろくな戦績も残せないまま古馬となった4歳もパッとせず、
800万下(当時)で2着2度がやっと

連勝の末に初の重賞制覇となるダイヤモンドS(3200m)を勝利し、
大器の片鱗がようやく見えてきたのは5歳の春という超遅咲きだった



48 :名無しさん: 2014/09/23(火)22:28:25 ID:pNHPvgSWd
その後は重賞戦線に何とか乗り、秋に毎日王冠(1800m)を制するも
宝塚記念4着、天皇賞・秋7着、有馬記念3着と大きいところには手が届かず、
再び脚部不安にみまわれて長期休養へと入ってしまう



49 :名無しさん: 2014/09/23(火)22:32:25 ID:pNHPvgSWd
故障からようやく復帰したのは6歳の秋

復帰初戦の毎日王冠で3着に入り、その勢いのまま天皇賞・秋へと臨む
ここでついに才能開花したキョウエイプロミスは
中団から逃げるタカラテンリュウをとらえて勝利
デビューから5年目、数度の怪我を乗り越えてついにビッグタイトルを手にする



50 :名無しさん: 2014/09/23(火)22:34:37 ID:pNHPvgSWd
ちなみにキョウエイプロミスが勝った天皇賞・秋は距離3200m
現在の天皇賞・秋は距離が短縮され2000mで開催されているが、
キョウエイプロミスは3200mで施行された天皇賞・秋の最後の勝ち馬だったりする(翌年、初の2000m天皇賞を勝ったのはミスターシービー)



52 :名無しさん: 2014/09/23(火)22:42:24 ID:pNHPvgSWd
そして次走は当時日本で唯一の国際招待レース、ジャパンカップ
日本競馬は長らく鎖国状態で、
国際化をめざすために1981年から始まってこれで3回目

第1回の勝ち馬はアメリカ代表、冬毛ぼさぼさでやる気あんのか状態の牝馬メアジードーツ
第2回の勝ち馬もアメリカ代表、向こうじゃ二線級扱いの格下馬ハーフアイスト

迎え撃つ日本勢はホウヨウボーイ、モンテプリンス、ヒカリデユールなどなど
国内の大レースを勝ち上がってきた一流馬たちだったが、
勝ちにいった馬は影すら踏めずに大惨敗、着を拾いにいった馬がかろうじて5着に入るという有り様で
欧米の二流馬相手にぐうの音も出ないほどコテンパンにやられまくっていた
当時は「こりゃ向こう10年は日本馬ノーチャンやろ」とまで言われてたほど



53 :名無しさん: 2014/09/23(火)22:45:25 ID:pNHPvgSWd
しかしこの第3回が行われた1983年は日本競馬にも待望のスターホースが誕生していた

この年のクラシックでシンザン以来19年ぶりの三冠を達成していたミスターシービー
3歳ながら当然日本のエースとして出るだろうと期待されていたし、
欧米製も日本の三冠馬との対決を望んでいた

しかし残念ながらシービーは菊花賞勝利後、休養を宣言
ジャパンカップ回避とあいなった



55 :名無しさん: 2014/09/23(火)22:48:23 ID:pNHPvgSWd
これには欧米勢も不満タラタラ
はっきりとは言わないものの意訳すると
「おいこら、こっちはわざわざ遠いとこから極東の土人国まで来てやってんねんぞ
 せやのに最強馬だしてこんとはどういう了見やねん、なめとんんかワレ」
みたいな感じ

ちなみに海外勢はみんな招待馬なのでアゴアシ付きなんだけどね



57 :名無しさん: 2014/09/23(火)22:52:47 ID:pNHPvgSWd
しかしここでキョウエイプロミスを管理していた高松調教師が高らかに宣言する
「ですから!キョウエイプロミスがあなた方のお相手をするわけです!」←実際のコメント
鞍上の柴田政人も強気の一言「状態はパーフェクト。勝ちに行きます!」←実際のコメント

実際この秋の天皇賞を勝ってるキョウエイプロミスは国内勢の中では一番手だった
まったく期待はされてなかったけど



58 :名無しさん: 2014/09/23(火)22:59:26 ID:pNHPvgSWd
そして本番
レースは快速ハギノカムイオーが大逃げを決めてそのまま玉砕
最後の直線でアイルランド代表(英アスコット競馬場2400mのレコードホルダー)が抜け出す
そこへ後方からキョウエイプロミスがぐいぐい追い込み、
ラストは猛烈なたたき合いになるもアタマ差届かず
解説の大川慶次郎が興奮のあまり「プロミス!プロミス!プロミス!」と大絶叫する声が
https://www.youtube.com/watch?v=h07Az3Spnb0&feature=player_detailpage#t=261





59 :名無しさん: 2014/09/23(火)23:03:20 ID:pNHPvgSWd
なめてかかっていた欧米勢相手に
破れたとはいえ初めて連対し日本馬の意地を見せつけたキョウエイプロミス
しかしもともと脚部不安を抱えていたプロミスの脚はこれでついにパンク

右脚頸靱帯不全断裂でレース後は馬運車に乗せられて退場、
そのまま引退という悲壮感あふれる幕引きだった



60 :名無しさん: 2014/09/23(火)23:08:06 ID:pNHPvgSWd
敗れたとはいえ
なめきっていた欧米勢に日本馬の意地を見せてくれたキョウエイプロミス
レース後はもともと不安を抱えていた右脚がついにパンク(靱帯断裂)
馬運車に乗せられて退場という悲壮感あふれる幕引きだった

キョウエイプロミスが命がけの激走を見せてくれた翌年
カツラギエースが日本馬初のジャパンカップ勝利をもぎとったのでした
今や海外勢は何しに来てんだかってほど日本馬が勝って当たり前のJCの黎明期のお話でしたとさ
おしまい



61 :名無しさん: 2014/09/23(火)23:12:08 ID:pNHPvgSWd
タマモクロスだけで終わるつもりだったけど
キョウエイプロミスも書いてとりあえず満足



62 :名無しさん: 2014/09/23(火)23:16:35 ID:vLpQErHDl
グラスワンダーを超える好きな馬がいまだに現れない
この先も現れる気がしない



65 :名無しさん: 2014/09/23(火)23:26:05 ID:pNHPvgSWd
>>62
俺はスペシャルウィーク派だった


海外の馬についてもちょっとだけ
オーストラリアのテイクオーバーターゲット

この馬は過去30年ではおそらく世界最安値のG1ホース
そのお値段なんと11万円(1250豪ドル)
ちなみに購入したのは調教師
決して裕福ではないうえ調教師の収入だけではテイクを養っていけないので
タクシードライバーをして日銭を稼ぎ、エサ代にあてていたそうな



67 :名無しさん: 2014/09/23(火)23:33:15 ID:vLpQErHDl
>>65
スペシャルウィークとグラスワンダーの勝負は涙が止まらなくなる



63 :名無しさん: 2014/09/23(火)23:19:09 ID:z2LqpF4nS
トロットサンダー



64 :名無しさん: 2014/09/23(火)23:25:56 ID:acJ7tfBDq
ダイタクヘリオスとダイイチルビーの
恋物語は?



66 :名無しさん: 2014/09/23(火)23:31:47 ID:pNHPvgSWd
ところがこのテイクオーバーターゲット、なにしろ故障ばかりで重度の脚部不安
脚が弱すぎてまともな調教さえできないという虚弱ぶりで
ジャニアック調教師が購入しなければ廃用されてたような馬だった

そろを辛抱強く育て続け、
ようやくデビューにこぎつけたのは4歳の4月
ところがこいつがバカっ速で、1200mの短距離戦を7連勝して一気にG1ホースになってしまう



68 :名無しさん: 2014/09/23(火)23:35:53 ID:z2LqpF4nS
伝説の一族
クモワカ
 │
ワカクモ
 │
オキワカ
テンポイント
キングスポイント



70 :名無しさん: 2014/09/23(火)23:39:12 ID:pNHPvgSWd
>>68
たしかフジヤマケンザンもその母系だったはず



71 :名無しさん: 2014/09/23(火)23:43:26 ID:z2LqpF4nS
>>70
そうだね




69 :名無しさん: 2014/09/23(火)23:38:09 ID:pNHPvgSWd
その後は海外にも活躍の場を広げ、9歳まで現役を続けたテイクオーバーターゲット
日本にも2006年に来日してセントウルS2着、スプリンターズS勝利と、しっかりG1をゲットしていった
その生涯獲得賞金は約4億円
11万という中古の原チャリみたいな価格で命を救われて、見事その恩を返したというお話



73 :名無しさん: 2014/09/23(火)23:51:00 ID:pNHPvgSWd
立身出世の馬はヨーロッパにもいる
今年7月に引退したフランス生まれのドゥーナデン

父Nicobar(ニコバー)、母の父Kaldounevees(カルドゥネヴィース)という
何だそれ過ぎる超絶マイナー血統
おそらくフランスの競馬ファンでもこの血統知ってる人はきわめて少ないと思われる
母La Marliaは未出走、母母も未出走、3代母は走ったものの入着なし
母系を8代まで遡ってもステークスウィナー無しという
もはや三流を通り越してよくぞ現代まで生き残れましたねってほど

そんな血統背景だったためドゥーナデンの当歳価格はわずか1500ユーロ(20万円弱)
これまた中古バイクのような値段しかつかなかった



74 :名無しさん: 2014/09/23(火)23:55:03 ID:pNHPvgSWd
しかしデビュー6戦目、ドイツ競馬で初勝利をあげると
フランスの調教師が10倍の価格(15000ユーロ)で購入してフランスへ移籍

とはいえ大して期待されてたわけではないので
アラブ馬(サラブレッドより頑丈で従順で遅い)の調教相手に使われたり
競馬場で誘導馬のお仕事をしたりしつつ、ちょいちょいレースに出続ける



75 :名無しさん: 2014/09/24(水)00:06:16 ID:MOFzgxD38
4歳になって力をつけてくると
その年の秋にはカタールの石油王に20万ドルで買われ再び移籍
移籍初戦は2着ながら強烈な追い込みを見せ、
同日に行われた凱旋門賞の上がりタイムを上回る

その後再び移籍(4度目)し、5歳にしてついに重賞制覇
さらにオーストラリアを転戦し豪州最大のG1レース、メルボルンカップを勝利
返す刀で香港へ遠征、香港ヴァーズも制してG1連勝と
世界を股に掛けて大活躍
去年日本にもきてジャパンカップに出走したもののここでは5着だった

8歳になる今年も現役を続けていたが夏に脚部不安を発生して引退
しかし当初の期待を大幅に上回る成績をあげ、
今や滅亡の危機にあるバイアリーターク系の競走馬として最大級の結果を残したましたとさ
おしまい



76 :名無しさん: 2014/09/24(水)00:22:59 ID:MOFzgxD38
何度かリクエスにトも出ていたテンポイントについて書こう

あまりに有名すぎて今さら感あるけど
ドラマ性&悲劇性では日本競馬史上でも間違いなく屈指だからね



77 :名無しさん: 2014/09/24(水)00:25:30 ID:MOFzgxD38
テンポイントのストーリーは祖母の代から始まる

この母系は月丘を祖とする昭和の日本競馬を代表する名牝系で、
テンポイント以外にもダービー馬テイトオー、
日本初の海外G1馬フジヤマケンザン、桜花賞馬ダイアナソロンなど
多くの名馬を輩出している

月丘の子にしてテンポイントの祖母・丘高ことクモワカも、
桜花賞2着など優秀な競走成績を残した名馬でありました



78 :名無しさん: 2014/09/24(水)00:29:49 ID:MOFzgxD38
悲劇はこのクモワカが4歳の夏に起こる

体調を崩し発熱したクモワカは、京都競馬場の獣医から
伝染性貧血症(通称・伝貧=デンピン)という診断を受ける

この病気は死にこそ至らないものの不治の病で、
繁殖能力が喪失してしまうというサラブレッドにとっては恐ろしい病気
しかも伝染病なので、発病した馬は問答無用で殺処分命令がくだされてしまうんだ



79 :名無しさん: 2014/09/24(水)00:34:02 ID:MOFzgxD38
ところが治らないはずの病気なのに
クモワカはその後ケロッと回復してしまう
つまりは誤診だったわけだ

しかし一度降された診断と殺処分命令はそう簡単には覆らない
そこで陣営は役人の目を盗み、京都から北海道の牧場へとクモワカを逃がしたんだ



80 :名無しさん: 2014/09/24(水)00:42:57 ID:MOFzgxD38
故郷の吉田牧場へと帰ってきたクモワカは、
それから普通に種牡馬と交配し、何事もなく普通に出産もした
伝貧の馬ならそんなこと出来るわけがない

しかしせっかく生まれた産駒ではあるが、
なんせクモワカは死んだことになってる馬なので正規に競走馬登録ができない
何とか殺処分を取り消し、クモワカを再び競走馬として再登録するよう掛け合うも事態は好転しない



81 :名無しさん: 2014/09/24(水)00:44:45 ID:MOFzgxD38
最終的には裁判にまで発展した末に
ようやくクモワカは汚名を晴らすことが出来たものの
あまりにも時間がかかり過ぎ、伝貧の診断からは実に13年の歳月が過ぎていた
この事件は「クモワカ伝貧訴訟」として知られている



82 :名無しさん: 2014/09/24(水)00:52:49 ID:MOFzgxD38
この事件の終結によって、
遅ればせながらすでに生まれていた産駒のうち3頭がデビューできた

そのうちの一頭、ワカクモは
かつて母が破れた桜花賞を見事勝利しクラシックホースに輝いて
「亡霊の一族」と呼ばれた母・兄たちの無念を晴らし、
通算11勝をあげる大活躍をして引退
「一族からダービー馬を」の夢はその仔へと託されることになった

そのワカクモから誕生したのがテンポイントというわけ
ようやく生まれたとこまで来たよ



83 :名無しさん: 2014/09/24(水)00:56:17 ID:MOFzgxD38
そんな一族の無念と期待を一身に受けたテンポイント
その馬名の由来は「10ポイント活字で新聞に載るぐらい活躍してほしい」という意味だとか
さぞかし大きな見出しのようだけど、実は10ポイントってせいぜい小見出し程度の大きさだったりする



84 :名無しさん: 2014/09/24(水)01:01:16 ID:MOFzgxD38
余談だけど(つーかずっと余談だけど)このテンポイント、
本当に綺麗な馬なんだよね

no title


赤毛に近い濃い栗毛の馬体に、ステイヤー特有のすらっとした体躯
額の流星も鼻筋に向かってシュッと伸びる整った形で
まさしく「貴公子」というニックネームがぴったりのグッドルッキングホース



109 :名無しさん: 2014/09/24(水)09:44:35 ID:PGrTByOhf
>>84
綺麗な馬だったんだね

乙でした
なんか泣いてしまいそうです



85 :名無しさん: 2014/09/24(水)01:12:30 ID:MOFzgxD38
さてさて、そんなこんなでようやくデビューすることになったテンポイントは
のっけから周囲の重すぎる期待に応えて大活躍する
デビュー戦は圧倒的1番人気に支持され、
がっつり逃げて2着に10馬身差、コースレコードの圧勝
2戦目も2着に9馬身つけて圧勝



86 :名無しさん: 2014/09/24(水)01:17:14 ID:MOFzgxD38
3戦目は関西の2歳王者を決める
阪神3歳ステークス(馬齢は当時数え年カウントだった)
これまた7馬身差の圧勝
http://youtu.be/o1iL44rYEjg


このレースのゴール前、杉本清アナの実況
「見てくれこの脚、見てくれこの脚、これが関西の期待テンポイントだ!」
は名実況として有名



87 :名無しさん: 2014/09/24(水)01:23:44 ID:MOFzgxD38
ちなみに杉本アナも「関西の期待」と実況で言ってるように
テンポイントの所属は母や祖母と同じく関西の栗東

これがまたテンポイント人気を強力に後押しする理由の一つでもあるんだが、
輸送が今ほど発達してなかった昭和の時代、関西と関東は今ほど頻繁に交われなかった
そして皐月賞、ダービー、有馬記念と、大レースの多くは関東開催で
自然、有力馬の多くは関東に所属するという「東高西低」状態が長らく続いていた

そこへ来てテンポイントのような強い馬が関西から登場したとなると
「おっしゃー関東のボケども見とれよー!ワシらのテンポイントがいわしたる!!」
てな感じで関西競馬ファンのテンションが上がりまくってしまうわけ
見た目も良くて滅法強い、そのうえお涙頂戴なバックボーンまであるんだから人気が出ないわけがない

こうしてテンポイントは一族の期待のみならず
関西人たちの期待まで背負う羽目になったんだわ



88 :名無しさん: 2014/09/24(水)01:32:57 ID:MOFzgxD38
3戦3勝、その全てを圧勝という順調すぎるスタートを切ったテンポイント

明けて3歳、いよいよクラシックをめざして東上することになる
狙うは皐月賞、さらには日本ダービー
前述したように当時は関西-関東の輸送も楽ではなかったため
テンポイントは関東に長期滞在することになった

管理を任されたのは主戦ジョッキーの鹿戸明騎手と山田厩務員
調教師の手を離れてしまったのがまずかったのか
東上後のレースはこれまでの楽勝劇とはうってかわって
東京4歳Sは半馬身差、スプリングSではクビ差と
勝つには勝ったものの・・・・というピリッとしないものだった

とはいえこれで5戦5勝
クラシックの主役としては申し分ない成績で皐月賞へと臨むことになる



89 :名無しさん: 2014/09/24(水)01:43:37 ID:MOFzgxD38
この年のクラシック戦線、主役はテンポイントだけじゃなかった

テンポイントを迎え撃つ関東勢の大将格は
こちらも目下のところデビューから負け無しのトウショウボーイ
わずか3戦ながらその強さから「天馬」と賞賛されるほど

そしてこのトウショウボーイは
後にテンポイントにとって終生のライバルとなる



90 :名無しさん: 2014/09/24(水)01:51:33 ID:MOFzgxD38
そして迎えた貴公子テンポイントvs天馬トウショウボーイの第1ラウンド・皐月賞

が、ここでまたまたトラブルが起こる
この時期、厩務員たちの労働組合が賃上げ要求のストライキに入ってしまい、
皐月賞は予定より1週間遅れ、中山競馬場ではなく東京競馬場で開催されるという異例の事態となった

慣れない関東で皐月賞に向けてギリギリの調整を続けていたテンポイントは
この煽りをモロに受けて大きくコンディションを狂わされてしまう
結果、1番人気におされるもトウショウボーイに5馬身も差をつけられて大敗
2着を確保するのがやっとという不甲斐ない結果に
https://www.youtube.com/watch?v=GjEc9qb7nSU&feature=player_detailpage#t=74





91 :名無しさん: 2014/09/24(水)02:00:21 ID:MOFzgxD38
次走は日本ダービー
一族にとっても関西ファンにとっても悲願のタイトルだったが
テンポイントは相変わらず本調子を欠いたまま迎えることとなる

このレース、結局は大本命に押されていたトウショウボーイも
加賀武見騎乗のクライムカイザーにまんまと出し抜けを食らって2着と敗れてしまう
https://www.youtube.com/watch?v=CIjpePLeq-c&feature=player_detailpage#t=126


テンポイントにいたっては見せ場さえ作れず、レース中に骨折して7着惨敗
VTRで見ても馬群に沈んでどこを走ってるのかも分からない



92 :名無しさん: 2014/09/24(水)02:09:50 ID:MOFzgxD38
皐月賞・ダービーと連敗し、屈辱にまみれたテンポイント
骨折が軽度だったおかげで秋の復帰に間に合うのがせめてもの救いだった

とはいえ調整は決して順調とはいえず、
菊花賞トライアルには間に合わず京都大賞典でようやく復帰へとこぎつけた
このレースは古馬混合ということもあり病み上がり3歳のテンポイントは6番人気の低評価
しかしここで勝ち馬と差のない3着と大健闘し、
実況の杉本アナも「テンポイントは3着、今日は3着で充分だ!」とねぎらいの言葉を贈る



93 :名無しさん: 2014/09/24(水)02:30:23 ID:MOFzgxD38
次走はクラシック最終戦の菊花賞
1番人気は皐月賞馬トウショウボーイ
2番人気はダービー馬クライムカイザー
テンポイントは3番人気

レースはテンポイントがトウショウボーイの直後につけてマークするように進み、
距離不安をささやかれていたトウショウボーイを直線入り口でかわして先頭に立つ
クライムカイザーも今ひとつ伸びがない
これはテンポイントチャンス!とファンの握り拳も硬くなる
杉本アナも私情モロ出しで「それいけテンポイント!ムチなどいらぬ押せ!!」と大絶叫

そしてテンポイントついに春の雪辱&ビッグタイトル奪取か!と思った瞬間
最内を突いて誰からもマークされていなかった12番人気の伏兵グリーングラスが
突如として突っ込んできてそのままゴールイン
テンポイントまさかの2着

菊花賞時のグリーングラスはフロック扱いされたが
後にテンポイントとトウショウボーイに次ぐ三強の一頭として評価され
三頭それぞれの頭文字から「TTG」と呼ばれるようになる



94 :名無しさん: 2014/09/24(水)02:37:21 ID:MOFzgxD38
この後テンポイントは有馬記念へと駒を進めるが
3・4コーナーで前が壁になって抜け出せない不利を受けて仕掛けが遅れ、またもや2着に破れる
勝ったのはトウショウボーイ



95 :名無しさん: 2014/09/24(水)02:51:37 ID:MOFzgxD38
春は不調、秋は惜敗といいところなく3歳シーズンを終えたテンポイントは
いつしか「悲運の貴公子」などと余計な冠付きで呼ばれるようになる

明けて4歳、雪辱を期して挑むは天皇賞・春
前哨戦の京都記念と鳴尾記念を連勝し、1番人気に
レースでは菊花賞のようにまた内にササりつつも後続の追撃をかわして見事勝利、
ついに念願のビッグタイトルを手中に入れる
実況の杉本アナも「これが夢に見た栄光のゴールだ!」と喜びを爆発させる

ただし
このレースにトウショウボーイは出ていなかった



96 :名無しさん: 2014/09/24(水)03:02:30 ID:MOFzgxD38
ビッグタイトルを手に入れたテンポイントの次なる目標はライバルの打倒
vsトウショウボーイ第5ラウンドの舞台は宝塚記念

これまでとは違い、今度はテンポイントのホームである関西
しかも不利や紛れも起こりにくい小頭数(6頭)
ここで勝たずにどこで勝つ
が、逃げるトウショウボーイをまたもや捉えきれず2着

ここまで5度の対戦で先着は1度だけ
さすがにこの敗戦の痛手は大きく、テンポイントファンの間からさえも
「これもう無理じゃね」「トウショウボーイには永久に勝てないでしょ」
という声が挙がりはじめる



97 :名無しさん: 2014/09/24(水)03:08:26 ID:MOFzgxD38
トウショウボーイに負けっぱなしのテンポイントは
この宝塚記念の後からスパルタ調教へと切り替えてトレーニングの日々をおくる

その間にアメリカからレースの招待を受けるが
「いや、トウショウボーイに勝ちたいんで」とこれも辞退



98 :名無しさん: 2014/09/24(水)03:18:45 ID:MOFzgxD38
そんな夏を過ごして迎えた実りの秋
久々にファンの前に登場したテンポイントの姿に多くの人が目を見張る

夏休み明けでパーマあててきたクラスメイトの如く、
一夏こえたテンポイントはなんとムキムキマッチョになっていた
前走の宝塚記念から驚異のプラス18キロ(太め感なし)!

そして秋初戦・京都大賞典を63kgという酷量を背負いながら8馬身差つけて圧勝
続くオープンレースも楽に逃げ切って快勝
満を持してライバル打倒のため有馬記念へと向かう



99 :名無しさん: 2014/09/24(水)03:39:23 ID:MOFzgxD38
宿敵トウショウボーイはこの有馬記念で引退・種牡馬入りが決まっている
つまり泣いても笑ってもこれがTT対決の最終ラウンド

1番人気テンポイント、2番人気トウショウボーイ

レースは2頭がスタートから先頭を奪い合う展開
他6頭を完全シカトのマッチレースとなった
逃げ潰れて共倒れになってもいいから雌雄を決したいという両者の思惑が一致した結果か
抜きつ抜かれつの展開は最後の直線まで続き、
激しい競り合いの末ついにテンポイントはトウショウボーイに勝利

VTRでは「テンポイント 力で、トウショウボーイを、そしてグリーングラスをねじ伏せました!」という
実況を最後に映像が切れるが、盛山アナの実況はこの後「しかし、破れたトウショウボーイも強かった!」と続く
その言葉通り、勝ったテンポイントはもちろんトウショウボーイも負けてなお強しという内容だった
http://youtu.be/Jl9S_QIubEo


この第22回有馬記念は今なお日本競馬史上最高の名勝負として名高い

余談だがこのレースの実況はフジテレビの盛山アナだが、杉本清アナの別バージョンも存在する
杉本アナが宝塚記念で必ず言うお決まりの名文句「あなたの、そして私の夢が走っています」の初出はこの有馬記念



100 :名無しさん: 2014/09/24(水)03:52:57 ID:MOFzgxD38
ライバルに雪辱を果たし、日本で走るレースがもうなくなったテンポイント
明け5歳はヨーロッパへと遠征することになった

その前に、関西ファンへ最後のお披露目
壮行レースとして選ばれたのが1月22日・日経新春杯
ここでテンポイントは66.5kgのという現在ではちょっと考えられない斤量を背負わされる
この日の京都競馬場は寒波の影響で極寒
小雪が降りしきる中での競馬となった

以下、動画がないので杉本アナの実況をテキストで

「さあテンポイント、鹿戸騎手。テンポイントと鹿戸騎手。 はたして手応えはどうか、手応えはどうか。

 まだ楽に行っている。 エリモジョージがその外だ、エリモジョージがその外だ。

 トウショウボーイと、トウショウボーイと一騎打ちを演じた・・・・・ああっと!テンポイントちょっとおかしいぞ!

 ああっと!テンポイントおかしい! おかしいおかしい!後退した!テンポイントが後退した!

 鹿戸騎手がちょっと後ろを見ている! これはどうしたことか!これはどうしたことか! 故障か!?故障か!?

 ああっと故障か!? テンポイントは故障か!? これは故障か!?

 テンポイントは競争を中止した感じ、中止した感じ。故障か? 故障か?

 テンポイント、これはえらいこと、これはえらいことになりました」



101 :名無しさん: 2014/09/24(水)04:01:15 ID:MOFzgxD38
テンポイントは最終コーナーの手前で左の後ろ足を骨折
骨が皮膚から突き出るほどの重傷だった
これほどの重傷は本来なら迷わず安楽死の処置がとられる
これは現在においてもそう、生かすなんてことはまずあり得ないほどの重傷

しかし皮肉なことにテンポイントのファンがそれを許さなかった
同日に寄せられた助命嘆願の電話は数千件
これを受けて急遽、医師団が結成され、テンポイントの救命手術が行われた



102 :名無しさん: 2014/09/24(水)04:08:16 ID:MOFzgxD38
手術は一応成功したと言われているが、そんなはずはなく
術後の経過は最悪の一語に尽きるものだった
ただ一命をとりとめたというだけで、助かる見込みはほとんど無い状態だった

テンポイントの容態は悪化こそすれ良化する気配はなく、
手術から3週間たつころには患部が腐敗して骨が露出していた
1ヶ月たつ頃には支える側の右脚に蹄葉炎(怪我した馬の多くの直接的な死因はこれ)を発症
3月に入ると医師団もついに治療を断念
3月5日の明け方にテンポイントはその生涯を閉じた

安楽死の処置は最後までとられず、約1ヶ月半の闘病の間に
500kgあったテンポイントの身体は300kg台にまで衰弱しきっていたと言われる



103 :名無しさん: 2014/09/24(水)04:15:33 ID:MOFzgxD38
テンポイントを安楽死させなかったことについては今なお賛否が分かれるが、
前代未聞の大手術は後の競走馬の治療発展に大きく貢献したと言われている

また、これは単なる偶然ではあるが
障害レースで活躍したテンポイントの弟・キングスポイントもレース中の故障で命を落としている
その通算勝利数が兄と同じく11勝だったのも数奇な一致といえる



104 :名無しさん: 2014/09/24(水)04:27:32 ID:MOFzgxD38
最後の余談

テンポイントの宿敵トウショウボーイは引退後種牡馬となり、
内国産種牡馬のエースとして数多くの名馬を輩出した
中でも1983年の三冠馬ミスターシービーはその代表格で
種付け料の安さと仔出しの良さで零細牧場からは「お助けボーイ」と呼ばれたが
1992年にテンポイントと同じく蹄葉炎を発症しこの世を去った

TTG三強の一角を担ったグリーングラスは
トウショウボーイが去り、テンポイントが逝った後もタフに走り続け
78年には天皇賞を、79年には有馬記念を勝って年度代表馬となった

3頭が揃って出走したレースは全て1~3着を独占している
そして同世代から3頭の有馬記念勝ち&年度代表馬が出たのは
後にも先にもTTGのこの世代だけ

おしまい



105 :名無しさん: 2014/09/24(水)07:24:01 ID:JXwueUjxX
泣いた 
良スレ おつかれさま



106 :名無しさん: 2014/09/24(水)08:12:26 ID:yVNUokntZ

良スレでした
競馬はギャンブルだけでなく
馬それ自体や歴史、血統など楽しめるのがいいよね



107 :名無しさん: 2014/09/24(水)08:15:32 ID:0poRauOY5
競馬は
必ずドラマがあるから楽しい


トウカイテイオー然り、グラスワンダー然り(この2頭は復活の有馬で勝ったから)
感動する要素がたくさんある




108 :名無しさん: 2014/09/24(水)08:31:34 ID:srxXPdTaV


その出生から最期まですごくドラマチックだな



110 :名無しさん: 2014/09/24(水)10:21:06 ID:6825ls94D
クモワカの一族はホントに劇的なんだよな

オキワカの系統のワカオライデンが地方で種牡馬として活躍して、その娘ライデンリーダーが中央に殴り込みに来るとかね



111 :名無しさん: 2014/09/24(水)10:24:41 ID:ZgvGSgwga
安い馬に関しては今はスノーフェアリーとかかな
あとはトキノミノルやらないのかな



112 :名無しさん: 2014/09/24(水)12:33:56 ID:NHro722UY
立身出世の地方馬としてアブクマポーロとジョージモナークを推薦したい
アブクマポーロは大井で鳴かず飛ばずだったのが船橋移籍後に大ブレイク
JRAの重賞レースまで勝った
ジョージモナークは大井所属で有りながら芝が得意だったという変わり種



115 :名無しさん: 2014/09/24(水)20:08:22 ID:ujITSTzY3
その馬は狂おしく身をよじる様に走るという





その名はサイレンススズカ



116 :名無しさん: 2014/09/24(水)20:13:18 ID:xPZCgRRRM
サイレンススズカいいね。
母親にホントはトニービンを種付けしようとしたのにその日は空いてなくて、
たまたま空いていたサンデーサイレンスを種付けしたとか。
馬房でグルグル回って話とか。

最後のレースも…ね…。



117 :名無しさん: 2014/09/24(水)20:26:42 ID:ujITSTzY3
田原成貴物語やってくれ


引退してから晩節を汚したけど騎手として本当に凄い人だった



118 :名無しさん: 2014/09/24(水)20:29:53 ID:9d79EFS6Q
ホッカイルソーと言う
蹄に水かき付いてて(母方血統)

三冠候補馬と天皇賞候補馬を
前哨戦の雨の馬場で葬った馬を
語ってくれ






引用元: ・まるで漫画みたいに劇的な競走馬について語る