・遊牧民に憧れたからキルギスで臆病な馬に乗って旅を始めたバカだけど【後編】
1 1◆0sA8GVLJwJ07 2017/12/06(水)18:52:52 ID:xTg
中央アジア馬旅の前編スレの続きだ!

前編: http://nipasoku.blog.jp/archives/77706066.html

これまでの冒険の一覧と今後の冒険の告知用
https://twitter.com/go_haruma

簡単な自己紹介と感想、質問などの問い合わせ
http://roughman.esy.es/contact/
(※アクセスが集中すると24時間ほど英語のエラーページが表示される残念な仕様だけど、生年月日(1990/09/11)位しか書いてないからとりあえずは問題ないかなw
急ぎの問い合わせがある場合はおれの捨てアドにメール送った方が早いと思う
go_haruma@yahoo.co.jp)

欲しいものリスト(冒険や道中の撮影に役立つものを中心に作ってみた。支援して下さる方がいらっしゃれば、是非宜しくお願いします)
http://www.amazon.co.jp/registry/wishlist/3UA8R3LZI4IND

2 1◆0sA8GVLJwJ07 2017/12/06(水)18:54:24 ID:xTg
ちなみに現在帰国はしてるんだけど、暖かいところで体を休めてるところだから、ゆっくり更新していこうと思う
12月中には完結させる予定だ!

大まかなあらすじ
・中央アジアのキルギスという国で馬を購入し、一人と一頭の野宿旅を始めた
・セキルと名付けたその馬はとても臆病で、車が来たりタイヤが並んでいたりすると驚いて横や後ろへ走り出してしまう性格だった
・300km程旅をし、なんとか馬の扱いにも慣れ、自由に走らせることも出来るようになった頃にナリンという大きな町へ到着して前編終了
・後編ではまずナリン近郊のアリシュという村に寄った後でコチコル(セキルを買った村)へ行き、その後イシククル湖という大きな湖を一周してコチコルへ戻りゴール、という予定

no title

5 名無しさん 2017/12/06(水)19:15:32 ID:rDh
期待の塊

22 1◆0sA8GVLJwJ07 2017/12/06(水)21:04:07 ID:Qaq
>>5
まじか、任せてくれ!

6 1◆0sA8GVLJwJ07 2017/12/06(水)19:15:52 ID:xTg
さて、ナリン滞在中は、おれにセキルの元飼い主コワンを紹介してくれたUおじさんの家に数日居候させてもらった
ゴールまではまだ800km弱あったので、滞在中は今後の冒険に向けて装備の強化をすることにした
まずセキルに繋ぐ縄を頑丈で少し伸縮性があるものに交換
そしてセキルの背に載せる荷物袋がもう限界だったため、しっかりしたものを注文することに

no title

ただし、現在キルギスではバックパックのような重いものを荷物袋に入れる風潮はないため、材質は頑丈でも縫い付けが少し甘い荷物袋が手に入った
正直不十分な気がする、少し心配だ
また、空いた時間は長男のダニエル、次男のタリエルとドローンで遊んだり釣りに行ったりした

数日間かけて疲れを和らげ、装備を強化して改めて出発!
まずはナリンから十数キロ離れたアリシュという村へ向かうことにした
本来のルートを逸れてこの村に寄る理由は、この村にはイヌワシ使いがいるらしいという情報を得たからだ
モンゴルでのイヌワシ狩猟民族の話をテレビで見たことがある人もいるかもしれないけど、ここキルギスにもイヌワシを操る「カザフ族」の人々は存在する
大きな鳥を操り共に生きるなんてとても素敵だ
是非会ってどんな暮らしをしているかを見てみたい

アリシュ村までの道中、セキルの体調は良好だったけど、新しい荷物袋はやはり縫い付け部分の強度が弱いようで、少し縫い目が破れてしまっていた
早いwww
なけなしの金をはたいてオーダーしたのにw
…まぁとりあえず手縫いで補強し、何とかしばらくは問題のないレベルの強度にすることができたのでよしとしよう

そしてアリシュ村に到着
すぐに何人もの村人に話しかけて情報を集める
結果、アマンという名の男がイヌワシを飼っているという情報が得られたため、すぐにその男の家へ
アマンの家とおぼしき家に行くと、中からアマンの父親が出てきて、アマンの家はここから100mほど離れていると教えてくれた
また、現在アマンは仕事でナリンにいるため夕方まで帰って来ないとのことだった
…この辺りは開けていて、父親がアマンの家だと言う方角には廃倉庫くらいしか無いんだけど、本当にアマンの家はこの辺りなんだろうか
まぁ夕方になれば分かるだろう

アマンが帰宅するまで時間が余ったのでアマンの父親が羊を絞める手伝いをしたり、料理の手伝いをしたりして過ごすことになった
とりあえず人間関係はいい感じだ

39 1◆0sA8GVLJwJ07 2017/12/07(木)01:02:15 ID:fo9
夕方、アマンが帰宅したとのことだったのですぐに会いに行くことになった

そしてアマンと対面
少し強面の寡黙な男だ
アマンはあまりロシア語は流暢ではなかったが、簡単な意思疏通は出来るようだった
アマン「イヌワシ…見るか?」
おれ「あぁ、是非見せてほしい!」

というわけで食事中のイヌワシを見に行くことに
「アイマック」と名付けられたそのイヌワシは、夕陽に照らされながら食事をしているところだった

no title

その後、おれに伝えたいことがいくつかあるとのことで、アマンの友達のキルギス在住日本人の方と電話で話して通訳してもらうことになった
以下アマンの伝えたかった内容

・今日おれは夜ナリンの家に泊まる必要があるが、もしよければ今日はおれの家にアイマックと一緒に(アイマックは基本的に室内飼いのようだ)泊まっていってくれ
・今から車を出すから晩御飯を一緒に買いに行こう
・明日帰ってくるのは夕方になるけど、それまでに出発するなら鍵のかけ方とかを教えるから好きにしてくれ
・ただ、今日はあまり話す時間がないからもしよければ明日も泊まってくれて構わない

そして、特に重要なこととして
・おれはあまりしゃべらないし、イヌワシを飼っていたり廃倉庫に住んでいたりで少し変だけど、怖がらないでほしい
・お互いロシア語はそれなりにできるようだし、何か伝えたいことがあったら時間がかかってもたくさん話しかけてほしい

…アマン、ちょっと無防備な感じはするけどめちゃくちゃいい人だなw

そしてアマンは「家だ」と言い、村外れの廃倉庫へ入っていった

…家?

no title

40 名無しさん 2017/12/07(木)05:29:36 ID:3q3
すごいところに住んでるなw
トイレとかどうしてるんだろ

46 1◆0sA8GVLJwJ07 2017/12/07(木)13:16:14 ID:fo9
>>40
ここトイレないんだよなぁwww

42 名無しさん 2017/12/07(木)08:39:26 ID:SKu
イヌワシかっこいい

46 1◆0sA8GVLJwJ07 2017/12/07(木)13:16:14 ID:fo9
>>42
初めて見たときは惚れ惚れしたなぁ…
羽とかもめちゃくちゃさらさらで、「鳥類の王者」って感じの風格あるなw

51 1◆0sA8GVLJwJ07 2017/12/07(木)22:49:31 ID:fo9
つづき
この廃倉庫が家…?
そういえば廃倉庫に住んでるとかさっき軽く言ってたような…

訝しく思いながらもアマンに連れられて倉庫へ入り、2つほど大きな部屋を抜けて奥へと進んでいく
この2つの部屋はほとんど手が加えられていない、ただの廃倉庫だ
ただし、奥の方の部屋は密閉されていて、アイマックの居住スペースらしい
アマンは腕を上げて合図し、腕に乗せたアイマックをその部屋に放つ

そしてそのアイマックの部屋の奥にある小さな部屋がアマンの居住地らしい

小さな部屋のドアを開けて中に入ると、まるでここが廃倉庫だということを忘れてしまいそうなくらい生活感溢れるアマンの部屋が姿を現した

no title

部屋の奥は一面ガラス張りで倉庫の裏手の山が見えており、昼間はなかなか景色が良さそうだ
右奥に見えている電熱器は暖房と湯沸し器の役割を兼任でき、お茶やインスタントラーメンなどを作るのに使っているらしい
壁には友人たちの写真やイヌワシ競技によるトロフィーが飾られていた

まるで秘密基地だ
か…かっこいい…
よし、今後アマンのこの家のことは「アマンの秘密基地」と呼ぶことにしよう

そしてイヌワシや趣味の部屋がある秘密基地に感動しつつ、アマンと晩飯の買い出しに行き、準備を始める
晩飯はインスタントラーメンだ
インスタントラーメンは久しぶりだったので、栄養補給も兼ねて生卵を入れると、それを見たアマンが少し驚き、考えた後に「それはいい考えだ」と言ってきた
加熱するとはいえ、生卵をそのまま割り入れるのは日本以外の国ではかなり珍しいようだ
その後一緒にラーメンを食べながらアマンと少し話をする
アマンはあまり話さなかったが、おれが聞いたことに関しては短く教えてくれた
アマンはキルギスの古い伝統を守りたい一心でイヌワシを飼っているそうだ
コンテストなどで賞を取ったりもしているが、競技や賞金にはあまり興味がないらしく、「イヌワシと共に生きる」ことに重点を置いて暮らしているらしい
アマンの一族は代々イヌワシを飼ってきた、ということは全くないらしく、由緒あるイヌワシ狩猟民族という訳では無さそうだったが、キルギスの伝統を守りたいというアマンのその気概におれは少し心を打たれた
観光客から金を巻き上げることが主な目的となってしまっている一部のカザフ族の人々に比べると、アマンの方がよほど「伝統的なカザフ族」に近い存在なのかも知れないなと、そう思った

そして食事後、アマンのことをもっと知りたいと思ったため、もし良ければ次の日もここに泊まりたいと告げるとアマンは快諾してくれた
この日アマンは仕事の兼ね合いでナリンに行かなければならなかったので、おれはアマンの秘密基地で一人で就寝することになった

58 1◆0sA8GVLJwJ07 2017/12/08(金)13:43:01 ID:5KH
つづき
そして次の日
朝、アマンが夜帰って来るまで退屈なのでだらだらして時間を過ごす
そして夕方、秘密基地から出て夕食の買い出しに行き、帰ってきたときに問題は起こった

少し離れたアマンの両親の家から、アマンの母親であろう老婆がシャベルを振りかざしながら小走りでこちらまでやってきた

老婆「今すぐでてけ!」
老婆はそう叫ぶと、その時たまたま地面に置いていた、一眼やPCの入っているリュックを蹴飛ばした
おれ「おい、いきなりなんなんだよ。なんでそんなに怒ってるんだよ。」
リュックを蹴られて若干ムッとしながら母親に尋ねる
老婆「で・て・け!!今すぐ!」

シャベルで殴らこそしなかったが老婆の手は怒りで震えており、少しでも口答えしたらすぐに殴ってきそうな雰囲気ではあった
おれが何したっていうんだよ…

おれ「とりあえず落ち着いてくれ」
おれはそう言い、一瞬のスキをついて老婆のシャベルを掴む
老婆はしばらくシャベルを押したり引いたりしていたが、しばらくすると諦めてシャベルを離し、一歩後ろに下がった
ようやく諦めたか、と安心したのもつかの間で、老婆はその辺の地面に落ちていたトランプくらいの大きさの金属片を握りしめ、投げようとしてきた

…う、嘘だろ、それ投げるのか…?
…この婆さん、本気だ

73 1◆0sA8GVLJwJ07 2017/12/08(金)18:46:30 ID:5KH
おれからすればなぜ老婆が怒っているのか全く分からなかった
その後周りにいた人間を呼んで事情を聴いてもらったりもしたが、要領を得ず

おそらくだけど、この老婆は外の人間が気に入らない人種だったのかもしれない
この調子だとアマンが仕事を終えるのを待つだけの時間を稼ぐことはできないだろう
老婆を振り切り秘密基地に引きこもるのは不可能ではないだろうけど、そうすると今度はセキルに何かされるかもしれなかったので、かなり残念だったがすぐに出発することにした

おれ「わかったよ、すぐに荷物をまとめて出ていくから、安心してくれ」
老婆「5分だけ待ってやる!分かったね?」

何様だよw

しかし、可能な限り早く出発しなければならない理由はこっちにもあった
この時の時刻は17:30
もう日没まで時間がない
この時間からではナリンにたどり着くのが精一杯で、安全な寝床を確保できるかはわからない
Uおじさんの家はナリンの端にあって遠すぎるから日没までには着けないし、彼の力を借りずに何とかするしかないだろう

急いで荷物をまとめ、出発
セキルを目いっぱい走らせ、ナリンを目指す
セキルはほぼ丸一日湿潤な草原で休ませてあったし、食欲や尿の色から食料と水分が十分すぎるほど補給できているのは明らかだったので、少しなら無理させても大丈夫だろう

結果、この日はナリンのはずれにある、嫌味を言ってくるおっさんの家に泊めてもらうことになった
おっさんは、セキルを弱い馬だと罵ったりおれがロシア語を流暢に話せないことを笑ったりを何度もしつこく繰り返してきた
さすがに何度もしつこく言われて少しいらいらしたけど、セキルの安全は確保できているので気にしないことにした

夜、アマンから謝罪のメッセージが届いた
メッセージによると、やはりアマンの母親は外国人を嫌う性格だったようだ
メッセージには、母親にはよく言って聞かせたから、もし良ければ是非もう一度来てほしいし、その際は是非トレッキングやドライブなんかを一緒に楽しくやろう…といった内容が書かれていた
アマンと会いたい気持ちはあったものの、アマンの母親がおれやセキルに危害を加える可能性を考えるととても戻る気にはなれなかった
なので次の日、おれはこのまま次の目的地、コチコルを目指して出発することにした

87 1◆0sA8GVLJwJ07 2017/12/09(土)19:05:48 ID:Q4l
次の日、コチコルヘ向けて出発!

手縫いで補強した新しい荷物袋は以前のものより遥かに強度が高かったので、道中安全な場所ではセキルを何度か走らせてみた
もうセキルは完全に指示を理解して行動してくれている
馬に乗って走ると風になったみたいですごく気持ちがいい
セキルの前足が地面を駆ける度に振動が全身に伝わり、自転車やバイクとは全く違う感覚だった

走ったり歩いたり小走りさせたりを繰り返し、夕方になる頃、渓谷にユルタ(円形の移動式住居)を発見
住んでいたのは優しい人たちだったので、この日はそこに泊めてもらうことになった
やはりユルタは落ち着くし、ユルタで暮らしている人々は皆動物の扱いに長けているのでセキルも安心だ

そして次の日
この日もセキルを何度か走らせる

荷物袋の縫い付けの問題で、少し破れかけの場所が出てきた
やはり手縫いではこの程度が限界か
どこかでミシンなどを使って補強する必要があるだろう

ちなみに最近はようやくセキルがなついてきてくれたようでとても嬉しい
遊牧中におれが近づいていくと、顔を上げてこちらにやってきて、「撫でてくれ」とばかりにおれの腹のあたりに顔を突き出す
超かわいい

さて、その後も問題なく進み、草原で1時間ほど休憩した後、セキルに乗って2、3歩歩いた時、おれはすぐに異変に気付いた

いつもと揺れ方が違う!!

ブレーキをかけるような…
いや、むしろ、いずれかの足をかばっている?

降りて確認すると
セキルは、後ろ左足を引きずっていた…

89 1◆0sA8GVLJwJ07 2017/12/09(土)19:07:54 ID:Q4l
後ろ左足の側に座り込み、触診をしてみる
出血、大きな内出血、骨折はなし

これでは原因がわからない
捻挫、筋肉痛、蹄もしくは股関節周りの異常なども考えられる

これはまずい
何にしろこの感じだと完治に日数がかかる可能性が高い
どこか安全で、しばらくセキルを休められそうな場所へ行くべきだ

現在地は、ソンクル湖とコチコルの分かれ道付近
つまりどちらに進むにしろ、前編で通った道だ
近くに長期的に滞在できそうな安全な場所はないかと考えを巡らせる

そして、思い出す
…あぁ、トロク村があった!

トロク村、それは、おれがセキルと旅を始めて2日目に滞在した、口数は少ないのにお茶目なコイチュビットおじさんとハイテンションなチョルポンおばさん、そして心優しい長男アイダールのいる村だ
前編ではかなりあっさり流していたけど、
(http://hayabusa.open2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1503286379/16)
コイチュビットおじさんの家は世話になった思い出深い場所だった

コチコルへの直線ルートからは少しそれるが、トロク村まではここから数kmだ
そしてさらに、チョルポンおばさんならミシンを使って荷物袋を完全体にしてくれるだろう

そうと決まれば出発だ
セキルの負担軽減のため、セキルから降り、手綱を引いて少しずつ歩いてトロク村へ向かう

…この時のこの決断が、この冒険だけでなくその後の冒険にも大きな影響を与えることになる

96 名無しさん 2017/12/10(日)09:16:45 ID:SOx
わがままだとは思うが、セキルの写真をもう少し貼ってくれると嬉しい。

98 1◆0sA8GVLJwJ07 2017/12/10(日)15:53:53 ID:PAJ
>>96
ならセキルの欲張り満足セット置いとくな!

no title

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セキルは水を飲むのが大好きだ
1日1,2回程度しか飲まず、それ以上飲ませようと水のある場所に連れていっても興味を示さないけど、一度飲み出すと1分くらい飲み続ける時もある

102 1◆0sA8GVLJwJ07 2017/12/10(日)22:42:10 ID:PAJ
さて、程なくしてトロク村に到着

記憶を頼りにコイチュビットおじさんの家へ
家に到着し、コイチュビットおじさんたちと再開

皆、まるで親戚か何かであるかのようにおれを歓迎してくれた
チョルポンおばさんは開口一番何も尋ねずに、「よく戻って来たわね!晩御飯、すぐ準備するからね」と暖かく話しかけてくれた
そして、家にはおれが知っている顔の他に、アイダールの弟、つまりコイチュビット家の次男であるところのアイベックという少年がいた
アイベックは、おれが初めてトロク村に来た時はソンクル湖で遊牧の手伝いをしていたためいなかったそうだ
アイベックは色々な動物の遊牧経験があるため、動物の扱いに長けているようだった

セキルのことは心配だったが、少し賑やかになったトイチュビック家に癒され、就寝

次の日から、おれのコイチュビット家での生活が始まった
ありがたいことにセキルは次の日の夕方には綺麗に歩けるようになっていたため、おれはアイダールやアイベックとの時間を楽しく過ごすことができた

また、居候させてもらうだけでは申し訳ないのて、その代わりに作物の収穫を手伝うことにした
朝から日が暮れるまで力仕事で、なかなかきつい

アイダールはとてもしっかりしていて心優しい19歳の青年で、意見が一致することが多かったためすぐに仲良くなることができた
アイベックは反抗期の16歳の少年で、家族に隠れて煙草を吸っていると自慢気に話していた

トロク村ではセキルに乗って歩き回ったり、その様子をドローンで撮影したりして、おれは楽しい時間を過ごした

3日ほどで出発する予定(依然として原因はわからないもの、セキルが問題なく歩けるようになってからもしっかり休ませることが重要だと考えたため、丸3日ほどセキルに休みをやろうと考えていた)だったんだけど、
「明日もいるでしょ?いていいのよ?」というチョルポンおばさんの言葉に絆され、また、最終日はミシンによる荷物袋の補強を遅らせるというチョルポンおばさんの巧妙な作戦により、出発が延期され、結局気が付くとおれはコイチュビット家で1週間ほど世話になっていた

104 1◆0sA8GVLJwJ07 2017/12/10(日)23:05:45 ID:PAJ
トロク村でのドローン動画

①アイベックの馬(前)とセキル(後ろ)。二人乗りの前に座ってるのがおれで後ろがアイダール
https://drive.google.com/file/d/1zC_7DfUD1QbLafIG5bfgIQHfVewEBEW0/view?usp=drivesdk

②ドローンのカメラが回ってるのに気付かなかったときの映像。セキルの隣にいるのがアイダールで、ちょいちょい左下に出てくるお調子者がアイベック。普段はこんな感じで笑いながら過ごしてた
https://drive.google.com/file/d/1sluNhy2fm_ApOnQzclq8Byo4hQjEXf7B/view?usp=drivesdk

③遊牧の帰り。アイベックがタイヤを飛び越えようとして馬をけしかけている。セキルがアイベックの馬より大回りにタイヤを避けていて、タイヤを怖がっているのが分かると思う
https://drive.google.com/file/d/1Q5pBYn7oMUfoRt4GK1dGztpISWTL0iAw/view?usp=drivesdk

113 1◆0sA8GVLJwJ07 2017/12/12(火)10:02:49 ID:Y20
つづき
そんな中での、ある日、遊牧の帰り道のこと
セキルにアイダールと二人乗りして、あと少しで家…というところで、おれは後ろから来た馬に乗った男にいきなり服を掴まれセキルから引きずり降ろされそうになった
…うわ、まじか!
 
男はよく分からない言葉を喚き散らしている
アイダールの補助により、何とか落馬せずに済んだけど、力のかけ方から男が本気でおれに危害を加えようとしているのが分かった

落馬なんてしたら馬具の構造上セキルにかなりの負担がかかってしまう!
冗談じゃない!

アイダール「Go!ここは俺が食い止めるから家を目指せ!」

そのセリフ現実に聞くとは思わなかった…という思いが一瞬頭をかすめたけど、今はそれどころじゃない!
アイダールがセキルから降りて男を食い止めている間にセキルを急かし、家を目指す

しかし、男は馬を無理やり突進させてアイダールをどかせて、今にもおれを捕まえんと片手を横に広げ馬を全力疾走させて追ってきた

男の馬よりもセキルの方が大きいので、全力疾走すれば逃げられるかもしれない
でも、ダメだ!こんなでこぼこ道でセキルを全力疾走させたら怪我をしてしまう!
…逃げきれない!

そこまで考えた時には男はもうセキルのすぐ後ろまで迫っていた
落馬は避けなければ!
そう考え、男がおれを捕まえようとしてセキルの横を通り過ぎる瞬間に反対側へと飛び降りる

着地

次の瞬間、セキルに方向だけ指示して手綱を離す
セキルだけでも逃がさないと!
おれ「セキル!行け!!」

結果、セキルは指示した方向に小走りで逃げていき、男とおれからある程度離れた場所まで行ってくれた
空気を読む、有能な相棒だ

117 1◆0sA8GVLJwJ07 2017/12/12(火)23:57:05 ID:Y20
さて、おれの目の前には男
やはりおれが目当てのようで、セキルには目もくれずおれを睨みつける

体格はほぼ互角、殴り合いなら勝てる!
そう思った矢先、男は思い切り馬の尻を叩き、馬ごとこちらへ突進してきた!

…いやそれは無理だわ!
そうだよな、キルギスって馬に乗ってやるラグビーみたいな国民的スポーツあるもんな、これは自然な発想だよな!

馬の動ける範囲はよくわかっているので斜め前に飛び、何とか最初の突進をかわす

しかし、かなり距離を詰められてしまった
男に掴まれたら終わりだ!

今すぐ何か有効な対策を考えないと!

そう考えた辺りでようやくアイダールが追いつき、騒ぎを聞きつけたチョルポンおばさんやその親戚、そしてコイチュビットおじさんが家から走ってやってきた

コイチュビットおじさん「Go!セキルを連れて家に行け!」

おれがいない方が事態の収束が早そうだったのでセキルと共に家へ
家に着く直前、振り返るとおじさんと男が言い合いをしているのが見えた
男もさすがにこの人数を押しのけることはできなかったようだ

…そしてその後、男はおれとは初対面であり、恨みなどはなく、ただウォッカの飲みすぎだったということを聞いた
日本では出会ったことがないが、途上国では割とこういう訳の分からない奴はよくいるので、まぁ納得、被害がなくてよかった

…ちなみにその後、アイベックと夜道を歩いているときに知らない男に追いかけられ、二人でライトを消して本気で走って逃げたり、夜酔い潰れた男が家のドアをガンガン叩いてわめき散らしていたので一家みんなで居留守を使ったりと色々あった

…トロク村ではこれが普通、のようだ

128 1◆0sA8GVLJwJ07 2017/12/14(木)00:16:59 ID:I4A
つづき
そんなこんなでついに出発の日がやってきた
今日はセキルの様子を見ながら10-20kmだけ歩く予定だ

さて、経路についてだけど、コイチュビットおじさんが「コチコルへ向かうなら川沿いの安全なショートカットがある」と教えてくれた
現地の人しか知らない道で、車は通れないらしい
こうして、最初通った時には知らなかったルート「渓谷ルート」が使えるようになった!

no title

渓谷ルートはナリンとコチコルを結ぶ主要道路に最短で到達することができる道で、渓谷を川に沿って進んでいくだけらしい
川沿いならセキルへの負担も少ないだろうということで、この渓谷ルートを利用することに決定

セキルに乗り、ゆっくりと家畜用の道を進んでいく

no title

このルートは本当に全く人や車が通らない道のようで、タヌキやイタチなどの小動物を何度か見かけた

そして、ついにコチコルへ続く主要道路が見えた…んだけど

…川。

主要道路の手前に大きな川があった
流れもそこそこ速く、川底が見えなかった

そして、付近に橋は全く見当たらない
いやいや、コイチュビットおじさんが言っていたルートなんだからさすがに通れるだろ…
そう考え、セキルに乗って川を1/4ほど進んだところで悟る

…無理だ

この感じだと川の真ん中へ行く頃にはセキルの首のあたりまで水が来てしまうだろう
荷物袋は当然水没、セキルだって流される危険性がある
もちろんおれもただでは済まない

別の道が、あるはずだ
そう信じ、川の上流へ向かってみたけど、セキルの目線ぐらいの高さに枝を広げる木が密集している森があり、物理的に通れないようだった

なら、下流か

下流方向へ行くには別の小さな川を渡らなければならず、更にその先の木々が生い茂る森を抜けていく必要がある
ただし、小さいほうの川は流れも遅く底が見えるので渡ることは可能で、森の木も、セキルから降りたり枝をどけたりしながら進めば何とか進めるという状態だった

129 1◆0sA8GVLJwJ07 2017/12/14(木)00:52:21 ID:I4A
どこかに橋か何かがあるはずだ
もしくは民家があれば尋ねることができる

そんな風に考えて、状況に応じてセキルに乗ったり降りたりしながら少しずつ森の中を進んでいく
川の近くは木が密集していたため、すぐに川は見えなくなった

そして、木々の枝をかき分け森を抜け、急勾配の斜面を歩き、数km進んでついに…!


行き止まった

目の前には崖
下には背の低い木が密集した密度の高い森
民家なんて、どこにもなかった

ここは完全に、人里離れた土地だ

…さあ、困った

進めないなら戻るしかないだろうけど、この大変な道を戻るだけの体力がセキルにあるだろうか…

…というか、川が今どの辺りにあるのかわからないし、似たような景色ばかりで川のどこを渡れば元の場所に行けるのかも分からない

…あ、あれ、どう進めば戻れるんだ?

…まずい
人里離れた場所で、体力も消耗した状態でこの状況
遭難したと捉えた方がいい
悠長に構えてる場合じゃない!

スマホを出して、GPSを使おうとする
…だめだ、周りに崖が多すぎて信号を掴めない!

ならどうする、ここで動かず助けを待つか?
来るわけがない!日本とは違う!
待つのは最悪手だ

135 1◆0sA8GVLJwJ07 2017/12/14(木)18:17:05 ID:I4A
つづき
記憶を頼りにある程度戻り、GPSが掴める開けた場所まで行ってから元の場所に戻るべきだ

決断し、戻る

セキルに負担はかかってしまうが、戻りの道ですら勾配の大きい岩だらけの道で、残念ながら人間の歩ける道ではなかったため、セキルに乗るしかない

岩の斜面を抜け、木々が生い茂る森を、枝をどけながら進む
進んでいくうちにいつの間にか、服は破れ、テントを入れていた袋も破れ、散々な状態になっていたけど、そんなことはどうでもいい

そして数キロ進み、距離的におそらくこの辺りじゃないだろうかと考え始めた頃、ついに川に行き当たった

最初に渡った場所とは少し違うようだったけど、ここに来てようやくスマホがGPS信号を掴みはじめ、現在地が判明し、元の場所からあまり離れていないことが判明したので川を渡ることに

途中、予想以上に深い場所があり、荷物袋の下1/3ほどが水没してしまった
…まぁ、こうなる可能性を考えて、荷物袋の下には衣類や寝袋しか入れていないので問題ない

そして、疲労困憊、満身創痍ながらも元の場所に戻ることに成功!

さぁ、どうしようかと考えたけど、このルートは使えないことが分かったので、トロク村まで戻るべきだと考えた
安全なルートと聞いていたんだけど、安全とは何なのかよくわからなくなってしまった

さらに数時間かけ、日が沈み辺りが薄暗くなるころ、セキルと共にようやくトロク村に到着

コイチュビットおじさんの家まで行くと、心配そうな顔をしたチョルポンおばさんが出てきて声をかけてきた

チョルポンおばさん「Go…セキルどうしたの…?」


…え?
明らか服破れてて疲労困憊のおれじゃなくてセキル?

セキルは何の問題もなく…
セキルは…
セキ…

降りてセキルの様子を確認すると、セキルは、


一週間前と同じ足を、痛そうに引きずっていた

142 1◆0sA8GVLJwJ07 2017/12/15(金)01:24:31 ID:o5V
つづき
頭が真っ白になる

セキル、その足、そんなに悪いのか…?

またおれは、取り返しのつかないことをしてしまったのか…?

歩いた距離は僅か18kmほど
走るのはもちろん、早歩きすら一度もさせず、歩くペースもセキルに任せ、負担が少ないよう大切に、大切に歩かせた…

セキルが健康に旅できるよう、医療技術を得て、馬の疾病を勉強して、予防や早期発見のための準備も怠らなかった…

でも、足りなかったってことか…?

アイダールと1kmほど2人乗りした時は何の問題もなかった…
ということは、これじゃまるで、もう長距離歩けないみたいじゃないか…


たまたま家に居たアイダールのいとこが出てきて、セキルを見ておれに言葉をよこす

いとこ「Go、この馬はもう駄目だ。長時間歩けない体になっちまったんだよ!
分かるだろ?
もうこの馬はどこにも行けないから、ここで売って別れろ。
イシククル湖へはバスで行けばいい」

やっぱり、そうなのか…
思考が全く纏まらない

でも、ただ一つ、確かなことは…

おれ「ごめん、今はセキルは売らない。
おれのせいでこうなったんだから、完治するか回復の目途が立つまでおれが一緒にいる」

そう言い残し、家の中へ
夕食が出来上がっていたけど、当然食べる気にならず、部屋に戻って座り込み、呆然とする

時計の秒針の音だけが聞こえていた

154 1◆0sA8GVLJwJ07 2017/12/15(金)21:33:10 ID:o5V
つづき
…どの位時間が経っただろうか
考えることを放棄し、おれはただただうつむいていた

そんな時


今しがた帰宅し、セキルのことを聞いたアイダールがおれのところに来て、おれの肩を抱き寄せてこう言った

アイダール「Go、大丈夫だ。心配しなくていい。きっと全部うまくいく。」

…何の保証も何の根拠もない言葉
普段のおれなら何の参考にもしない言葉だ

それでも、この一週間、共に笑い、共に働き、共に人生設計を語り合ったおれの友達、アイダールのその言葉は、おれを奮い立たせるのに十分な力を持っていた

…そうだ、おれが考えるのをやめてしまったらおしまいだ
事態が好転する可能性を目いっぱい下げてどうする!

セキルに申し訳ないと思っているなら、今のおれにできることは、精一杯知恵を絞って何が最善かを考え、行動することだ!

おれ「アイダール、ありがとう。もう大丈夫だ。
少し考えを纏めるから一人にさせてくれないか?」
アイダール「あぁ、分かった」

…さぁ、考える時間だ!

155 1◆0sA8GVLJwJ07 2017/12/15(金)21:50:11 ID:o5V
no title

ちなアイダール
優しくて男前ないい奴だ
日本だったらモテまくるんだろうけど、こっちはイスラム教の国だから色々難しくて経験はないらしい
日本の女性が好みで、現在彼女募集中とのことだ

167 名無しさん 2017/12/16(土)17:34:16 ID:iyO
>>155
確かに日本だとモテそうな顔だな。

177 1◆0sA8GVLJwJ07 2017/12/17(日)20:31:27 ID:BXc
>>167
しかも実はこれで写真写り悪いというw
実物はもっとイケメンなんだぜw

156 1◆0sA8GVLJwJ07 2017/12/15(金)21:55:36 ID:o5V
つづき
まず第一に、1週間前の足の症状も含め、原因が全く分かっていない
おれはもちろん、馬に詳しい村人が何人も確認したけど、外見上問題なく、熱や腫れもない
足を引きずっているというだけで、強めに押しても叩いても全く痛がらない
触診した限りでは骨も折れていない

足の引きずり方が1週間前と少し違うことから、全く同じ場所を2度挫いた可能性もあるが、それは楽観的過ぎる
ひとまずその可能性は排除して考えよう

まずは足を引きずる原因を突き止める必要がある
そのためにはレントゲン検査をした方がいいだろう

レントゲン検査ができる病院
…あるとすれば首都のビシュケクだ

すぐにビシュケクに居る日本人の友達に連絡する
友達はすぐに周りのキルギス人たちから病院の情報を集めてくれることに
…しかしその結果、キルギスではレントゲンを使える動物病院はないことが分かった
しかもビシュケクにはほとんど家畜がいないため、獣医の質を考えてもコチコルなどの地方都市の獣医の方が頼りになるだろうとの返答だった

人間の病院に行って交渉してレントゲンを使わせてもらうか…?
いや、おれはレントゲンを診れないので正確な診断が出せないし、キルギスにはレントゲンを理解できる獣医はいない

…駄目だ、キルギス国内の医療機関では原因が永遠にわからない可能性がある

…ならキルギス外なら?

モカが世話になった、モロッコのフェズにあるAmericanFondouk動物病院
ロバと馬専門の動物病院で、アメリカ資本、治療費はタダ

モロッコ横断は去年の話で、モロッコで英語が話せる人は少ないから獣医師のメンバーも大きく変わってはいないだろう
ということは、あの動物好きで優しい獣医さんたちがまだいるはずだ!

レントゲン写真はどうするか保留にするとしても、去年モカが世話になった件を書いたうえでセキルが足を引きずっている動画や様々な角度からの写真を添えてメールを送れば、協力してくれる可能性は十分にある!

村の獣医、そして最寄りの町、コチコルの獣医に診てもらって原因がわからない場合はモロッコの病院にメールを送ることで何かわかるかもしれない

まずは明日の朝、村の獣医に診てもらうことからだ!

そこまで考えて、皆に謝り遅めの夕食を食べ、消灯



そして深夜
セキルのことを考えていて寝付けなかったので、セキルの様子を見に行くことにした

そしておれは自分の目を疑うことになる

セキルは…あんなに痛そうに足を引きずっていたセキルは、後ろ左足で地面をしっかりと踏みしめ、何の問題もなく、何の違和感もなく、悠々と歩いていた…

157 1◆0sA8GVLJwJ07 2017/12/15(金)22:00:35 ID:o5V
(参考)
前スレでAmericanFondouk動物病院が出てきた時のレス
http://hayabusa.open2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1469441371/347

161 1◆0sA8GVLJwJ07 2017/12/16(土)00:00:17 ID:N9S
つづき
次の日の朝

村の獣医「この馬、どこが悪いんだ?どこも悪くないぞ?」
一通り触診を終えた獣医が呆れたように話す

おれ「いや、どこかおかしいはずです!こいつ、長距離歩くと足を引きずるんです!蹄鉄が変に食い込んでるとか、何か異常はないですか?」
こういった問題は蹄鉄を外すことで改善することもあるため、聞いてみる
蹄鉄はメリットだけではないため、少なくとも後ろ足の蹄鉄については外した方がいいだろうと考えていた

獣医「ないよ?蹄鉄は擦り減ってはいるもののきれいにはめてあるし、触診も問題なし。歩き方も正常。この馬は健康だ」

だめだ、おれ自身蹄鉄の取り外しの技術がないため、村での同意が得られない以上ここで蹄鉄を外すことは不可能だ
まぁ確かに医者の言うように後ろ左足の蹄鉄はきれいに装着されていたので、蹄鉄については今は保留にすることにした

そう言って獣医は帰って行ってしまった

…本当にそうなのか?
2度同じ場所を捻挫した可能性もあるけど、捻挫だったとして、あんなに痛そうに引きずっていた足が一晩で完治するものなのか…?

…何が何だかわからない

ただ、原因がわからない以上楽観的に考えてこのまま出発するのは危険だ

何か出来ることはないかと考えた結果、荷物袋が長すぎることが原因で足を痛めているのかもしれないという思考に至ったので、チョルポンおばさんにミシンで直してもらった

そして夕方、セキルに新しくなった荷物袋を載せ、普段と同じ状態でトロク村の周りを10kmほどゆっくり歩かせて様子を見ることにした
足を庇うような素振りを見せたら即中止だ

162 1◆0sA8GVLJwJ07 2017/12/16(土)00:06:23 ID:N9S
セキルの後ろ左足に注意しながらセキルのペースで歩かせてみる

1km…異常なし
5km…異常なし
9km…異常なし
そして10km地点であるコイチュビットおじさんの家の直前に確認するも、問題なし

…よかった!かなり良くなってるんじゃないか…?

家に帰りつき、たまたま外にいたアイベックに声をかける

おれ「アイベック!セキル大丈夫だった!」

しかし、アイベックは「理解できない」という顔をし、セキルを指さしてこう言った
アイベック「何が大丈夫なんだ?」

アイベックの指さす先のセキルを見ると、またしてもセキルは後ろ左足を引きずっていた…

そんな…
今さっきまで問題なかったのに…

…そしてその更に20分後、おれの目の前には、何の問題もなく歩くセキルの姿があった

…?


その様子を見ていたアイベックが呆れたようにおれに話しかける
アイベック「…Go、これ仮病だよ。甘やかしすぎなんじゃない?
あとついでだから言うけど、馬に乗ってるときは道草食わせずにしゃきしゃき歩かせた方が足への負担が少ないんだよ」

アイベックは馬に関しては詳しく、頼りになることが多いけど、本当に仮病か…?
確かに競走馬とかは練習が嫌で仮病使ったりするっていうけど…

ここまでの情報から、少なくとも痛みが長時間続くような、捻挫や骨折ではなさそうだ

どうするべきか…
原因はわからないが、しばらくすると治ることから、荷物や人が乗っていない状態なら問題なく歩ける可能性は高い

明日、トラックでコチコルまで行って、獣医に診てもらおうか…
そしてその日は、どうしてセキルがそのようになっているのか悶々としながら食事をし、消灯

そしてその後、深夜
セキルが心配で寝付けず、またセキルを見に行くことにした

おれ「…セキル、ごめん、お前が痛い思いしてる理由、どうしても分からないんだ…」
そう言いながら、申し訳なさで感情が高ぶってつい力が入ってしまい、セキルの後ろ左足を強く撫でる

…その瞬間、今までおれ含め何人もの村人が押しても叩いても全く痛がらなかったセキルが、痛そうに足を上げた

168 1◆0sA8GVLJwJ07 2017/12/16(土)17:40:44 ID:tyY
つづき
ん?なんだ…?

もう一度、今度は少し優しめに同じ場所を撫でる
すると、セキルはもう一度同じように、少し痛そうに足を上げる

…間違いない、これは痛がっている

撫でた場所は足の内側、少し後ろ側
かなり覗き込まないと見えない場所だ

セキルの後ろ足の間に顔を入れ、詳しく見てみる

…何もない…いや、何かあるはずだ!

小さなはさみを使い、該当箇所の毛を丁寧に切っていくと他と少し色の違う皮膚が出てきた

皮膚…?
…いや、泥だ!
優しく丁寧に泥を取り除くと、深さ1mm程度のそこそこ大きな傷が見えてきた

創傷じゃないか!
どうしてこんなところに…

いや、それよりも、この大きさ、この位置なら歩くたびに足元の枝や岩が当たって痛いだろうし、放っておいた場合1週間で完全に塞がらないのは納得だ
毛と泥に覆われていたため押しても叩いても反応がなかったようだけど、こすることによって泥と傷口がすれて痛かったんだろう
おそらく昨日森を歩かせたときに、足元に落ちている枝などによって一週間かけてできたかさぶたが剥がれ、痛みが再発した…といったところだろうか
おそらくほとんどずっとかさぶたや泥で覆われていたお陰だろうけど、化膿などのない綺麗な傷口だ

とにかく、創傷なら今すぐ処置することができる!

今回行うのは湿潤療法
以下用語など知りたい人はググってくれ
昨日かさぶたが剥がれたり、普段泥で覆われていた影響で浸出液がまだ出ていたし、傷口も体に対してそこまで大きいわけではなかったので、より早く治すことのできる湿潤療法が適切に思われた
さらに湿潤療法なら、痛みを可能な限り抑えて治すことができるため、セキル的にもありがたいはず

さぁ、治療開始だ!

169 1◆0sA8GVLJwJ07 2017/12/16(土)17:43:19 ID:tyY
まずは小さなはさみで毛をすべて取り除き、泥もすべて除去する

そして次はたくさんの水で綺麗に洗う
しかしここで、痛さにセキルが足を上げる

…やっぱ痛いよな
なら!

おれ「セキル!メシ食えメシ!」
セキルが好きな草を大量に持ってセキルのところへ

数時間前から家につながれていたこともあって、セキルは腹が減っていたようで、待ってましたとばかりに草に勢いよく食いつく

今のうちに傷を洗おう!
急いでセキルの後ろ側に回り、水で傷口を丁寧に洗う
セキルは食べるのに夢中なようで、今度は全く痛がらなかった

…お前の食欲と痛覚どうなってんだよwww

まぁ結果オーライだ!
次は水を拭き、馬に感染しやすい細菌に効く、ワセリンが主成分の抗生物質を塗り込む

そして傷口をハイドロコロイド被覆材で閉鎖し、その上から包帯で固定する
「末端に痺れ等ないですか?」と聞きたいところだけど、答えてもらえるわけもなく、足の先の様子を見たり触ったりしながら判断するしかない

さらに、包帯のストックが限られている(コチコルまで行かないと手に入らない)ため、包帯が汚れないように、持っていたタオルで覆って処置完了だ!

包帯の締め付けが強くないか、しばらく観察したのち、部屋に戻って就寝

175 1◆0sA8GVLJwJ07 2017/12/17(日)20:21:20 ID:BXc
つづき
次の日の朝、セキルの様子を見に行き、セキルを少し歩かせてみる

…長距離歩かせてみないと何とも言えないけど、大丈夫そうだ
状況から考えて足を痛がる原因はここにあった可能性が高いから、これなら様子を見ながらコチコルまで少しずつ進むことも可能だろう
ダメなら軽トラをヒッチハイクしてコチコルへ行き、もう一度獣医にかかればいい

…こうしておれは、結局10日ほど滞在したトロク村をようやく出発し、先に進むことができるようになった
そして実はこの日は、アイダールにとっても出発の日だった

アイダールは自動車整備のスキルを持っていて、時々首都へ出稼ぎに出ていたようなんだけど、首都で仕事が見つかったらしく、1ヶ月ほど首都で働くべくトロク村を離れるようだった

そして、村から数キロ離れた主要道路まで行かないと首都行きのバスがなかったため、おれとアイダール、弟のアイベック、そして村の少年の計4人、馬3頭で主要道路まで行くことになった
ちなみにセキルには体重の軽いアイベックを1人で乗せ、おれは村の少年と共に別の馬に2人乗りして主要道路へと向かった
セキルの調子もいいみたいで、キャラバンっぽくてなかなか楽しい

そしてその後、主要道路に到着
アイベックと村の少年はすぐに馬を連れて村へ帰り、アイダールがバスに乗り込むのを見送った後で、おれとセキルはコチコルに向けて出発することになった

ここからコチコルのコワン(セキルの元持ち主。力を貸してくれるだろう)の家まで約35km
セキルに無理はさせたくないので、今日歩くのはあと15kmほどだ
ただし、もし途中でセキルが足を痛そうにすることがあれば、その時点で泊まり、キャンプだ
次の日継続して進むのかトラックをヒッチハイクしてコチコルに向かうかはセキルの状況次第にする予定だ


一度は通ったことのある道を、逆方向へ進む
あの時は車が危険すぎて随分と緊張しながら進んだものだけど、今じゃ何のことはない、特に問題のない道だ

その後5km、10kmと歩いてみても、セキルに異常は見られず
結局この日、セキルは山道含む負担がかかりやすい道を20km以上歩いたにも関わらず、一度も足を引きずることはなかった

no title

184 1◆0sA8GVLJwJ07 2017/12/18(月)13:14:41 ID:K1C
初日にキャンプをしたカフェにたどり着いたので、そこで野宿をすることに
カフェの店主に再会した時に「痩せたな、あんた」と言われたが、あまり自覚はなかった

さてその後、セキルの包帯をいったん外して被覆材を交換しようとして、絶句

もう完璧に傷塞がってるやん…

さすがは大型哺乳類
きちんと保護して治療すれば回復力は人間なんかとは桁違いのようだ

その場合被覆材は必要ないので、念のため包帯で保護し、就寝

次の日
朝早く起き、出発
セキルの足も全く問題ないようだ

午前中につくよう調整したので、昼前にはコワンの家に到着することができた

コワン「おぉ!Goじゃないか!よく来たな!元気か?
…そうか、もう500kmも歩いたのか!
正直まさか本当に達成するとは思ってなかったぞw」
おれ「あぁ、久しぶりだな!おれは元気なんだけど、この馬(コワンはセキルにマキシムスって名前つけてるからセキルって言いにくい)は足に問題がある可能性があってな。父さんに診てもらうようお願いできないか?」
実はコワンの父親は獣医だ
そしてコワンも、馬の疾病や必要な薬剤に関する知識は持っている
なので、ここまでの道のりでNおばさんやコイチュビットおじさんに冒険後セキルを売ってくれないかと頼まれたりしていたんだけど、正直コワンに返すのがセキルにとって最良だと考えていた

すぐにコワンの父親がやってきて、セキルを診断し始めた
…あれ?セキルちょっとだけ足引きずってる…?
よく見ると包帯がずれていた
…いや、それにしても傷は塞がってるのにな…
岩にでもぶつけたのかと思っていたけど、そもそも傷のできた位置も不自然だし、何か別の要因が…?
その時、コワンの父親が顔を上げて一言こういった
父「蹄鉄だ」
父親の指さす、引きずっている足の「反対側の」足を見る
よく見ると蹄鉄の金属がほんの少しだけ飛び出しており、触ってみるとその内の一つが尖っていた

…あぁ、なんで気付けなかったんだ!
もちろん出発時には金属は引っ込んでいたし、尖ってもいなかった
おそらく、長距離歩くことによって蹄鉄が少しずつ潰れていき、それに伴って上側の金属も押し出されて伸び、岩などによって削られて尖った…という流れなんだろう

やっぱ蹄鉄取ったら解決してたじゃねーか!
その後、蹄鉄のはみ出した部分を丸め、解決
父「とりあえず今日含め3日ぐらい休ませて様子見なさい。
念のため鎮痛剤出しとくけど、注射できるか?」
おれ「あぁ、もちろんだ!」
そのために今回高い金払って勉強・練習してきたからな!
しばらくコワンの家に世話になることになり、セキルも大丈夫そうなので安心し、その後メシをいただいて就寝

…以後、セキルが足を引きずることは二度と無かった

187 名無しさん 2017/12/18(月)18:16:08 ID:RsE
ウズベキスタン、一回いってみたいなぁ。
ツアーとかだとGoさんのいくようなところには行けないんだろうけど。

220 1◆0sA8GVLJwJ07 2017/12/23(土)14:46:19 ID:Jxg
>>187
ウズは超閉鎖的な国だから観光以外できないかな
キルギスはファームステイとか絶対楽しいと思うぞ!

190 名無しさん 2017/12/19(火)09:04:15 ID:5r8
モカ!

220 1◆0sA8GVLJwJ07 2017/12/23(土)14:46:19 ID:Jxg
>>190
モカ、ラテ、ブラック、カプチーノ、プレッソ、ウィンナ…
暑苦しい空気や乾いた風と一緒に思い出せる
懐かしいなぁ

つづき
さてさて、重要なイベントがない限りは軽く流していこうと思う

次の日
この日は少し寒い、穏やかな日だった

no title

最近は蹄鉄と地面がぶつかる音で地面の固さを判断し、セキルの疲労度の計算の参考にするようにしている
出来るだけセキルの脚に負担をかけない為には、石が少なくて適度な柔らかさの地面を歩かせるのがベターだ
蹄鉄も長持ちするから一石二鳥

さて、なんだかこの日はセキルがかなり元気なようだ
セキルを誉める際、これまでずっと首を強く撫でてやっていたんだけど、伝わっているだろうか
セキルはモカと違いフルーツとかを全然食べたがらないので、ご褒美をあげるというのが難しい

途中、熊の姿をした謎の水汲み場を通りすぎる
製作者のセンスが光ってるなぁ…

no title

191 1◆0sA8GVLJwJ07 2017/12/19(火)11:44:54 ID:Jdq
つづき
その後2日間はコワンの家に滞在
洗車や農業の手伝いをして過ごす

コワンの馬にセキルと名付けていたのがばれ、「この馬の名前はマキシムスだ」と言うコワンに対し、「マキシムスよりセキルの方がいい名前じゃない?」とおばさんが返すやり取りが何度か行われた
…うん、なんかマキシムスって下品な印象があるんだよなぁ
おばさんも同意見のようだw

コチコルでは電気洗濯機や、作物をブロック状にしていく車など、トロク村にはない科学の力を感じた
コワンは金持ちで、牛、鴨、七面鳥などを飼っていたため、牛についての情報収集をした
母牛は子牛がいなくても9ヶ月ほど乳を出し、その量は一日10Lにもなるそうだ
いつか牛と一緒に冒険もしてみたいなぁ…
ちなみにコワンの家では搾りたての暖かいミルクが飲める
大好物なのでとても嬉しい

さて、セキルの調子も上々!
たくさん食べ、体力も回復完了!

そして、ついに出発の日がやってきた

昼前、コワンに別れを告げ、出発!

セキルは最近休んでばかりだったためか、臆病な性格がかなり顕著に現れるようになっていた
まず、人の家で干してある派手な絨毯に怯え、全く進まなくなる
そして、道の両端に設置されているガードレールに怯え、かといってガードレール下の川を渡る勇気もなく…
両端にガードレールがある場合は極端に危険度が増す
歩行者や動物用の道幅がほぼないからだ
車に驚いたセキルが暴れると接触事故が起こってもおかしくない状況なので、一回一回集中して切り抜けなければならない、難しい道だ

ガードレールが長い場合にもっとも安全なのは、車が来ていないか安全を確認した上でセキルを走らせて一気に抜けることだ
しかしセキルが進もうとしないためそれはできないし、セキルから降り手綱を引いて歩くのはかなり危ない(セキルのコントロールを失うことになり、車が来たら事故る可能性がある)ため、八方塞がりでかなり参った
2回、3回とセキルをガードレールに向かわせるも、どうしても怯え道路の真ん中で立ち往生
非常に危ない
何度かやっていると渋々かつ恐る恐るといった感じでガードレールの内側を渡り始めるので、様子を見つつ小走りさせて一気に抜ける
こればかりは安全の為なのでセキルに頑張ってもらうしかない

普段はここまで怯えることは無いため、明日はきっと大丈夫…だと信じたい

192 1◆0sA8GVLJwJ07 2017/12/19(火)12:01:20 ID:Jdq
その後、小さな湖に到着したので水辺まで行くも、少し塩分を含んでいたためかセキルは飲まず
単純に喉が乾いていなかったのかもしれない
まぁ今日の午前中かなり水を飲んでいたし、尿の回数や色も良好なので問題ないだろう

そしてその日は誰もいない荒野で野宿することにした
セキルは30km以上歩いたにも関わらず全く足を引きずらなかったので、やはり蹄鉄が原因だったんだろう

ちなみに家がなく人もいない場所で野宿するのは実は今回の冒険では初だ
意外とキルギスは田舎の方にもぽつぽつ家があるため、野宿するにしても誰かの家の敷地内の方が都合が良かった
これから行くイシククル湖の周りには家がたくさんあるらしいので、セキルとの冒険ではこれが最初で最後かもしれない

この日は夕日と星空が綺麗だった
…やっぱ、誰もいないところで野宿するって最高だ
心が澄んでいく気がして、気持ちいい

そして、就寝


次の日
さて、今日はついにイシククル湖に到着する日だ

セキルの足はもんなんの問題もないようだったので、少し早歩きをさせてみる
このところセキルの足に意識を集中してばかりだったため、おれの下半身から伝わる振動で、セキルのどの足が動いているのか分かるようになっていた
セキルと一体になったような感じで、半人半獣のケンタウルスにでもなった気分だ
そのうちシンクロ率400%オーバーで人間に戻れなくなるかもしれない

さて、昼休憩もほどほどにイシククル湖の入り口にある大きな町、バルクチヘ向かう
遠くに町が見えてきた時点で、予想より遥かに大きな町だったため少し緊張する
動物を連れて大きな町へいって問題なかったことなんて数える程しかない

何とか安全な場所を見つけ、切り抜けるべきだ

さて、今回バルクチが大きな町というのは知っていたので、手は打ってあった
コイチュビットおじさんの親友、ジョクバイおじさんの家がバルクチにあるとのことだったのでそこへ行こうと考えていた

教えてもらった電話番号にかけ、場所を聞く
…え、バルクチ郊外か…?

そしてその後、あと3km程で着くと聞いたのに歩けど歩けど一向に着かず
イシククルからは反対の方向へ…

気が付くとバルクチの町並みはとうに終わっていて、おれの視界には田舎の畑や山が広がるようになった
詳しい場所を知りたかったのでアイダールやチョルポンおばさんに連絡するも「場所は知らない」とのこと

…ていうかもうここまで来たら安全な田舎道だし、その辺でテント張っても安全そうだ
この日はかなり暑かったためこの時点でかなり疲れていたし、これ以上イシククルから逆走すると明日しんどいのでこの辺りで諦めテント泊することにした

ジョクバイおじさんに連絡し、あと少しかもしれないけど少し疲れてしまったから今日はこの辺りで寝ることにした。申し訳ない。と連絡
おじさんは「そうか。じゃあな」とだけ言って電話を切った

193 1◆0sA8GVLJwJ07 2017/12/19(火)12:19:36 ID:Jdq
その後、テントを張る場所を探していると、子供がこちらへ歩いてきた
父親らしき男が後ろにいたので、庭にテントを張らせてもらえたはかなり安全だと思い声をかける

おれ「こんにちは!お元気ですか?」
男「あぁ、元気だよ。ところで君、トロク村にいた日本人だろう?」

…ん?何で知ってるんだ?
おれ「? そうですが、どうして知ってるんですか?」

おれがそう尋ねると男はにっこりと笑ってこう言った

男「私がジョクバイだ」

…これはかなりのラッキーケースだ

いやいや、てか「野宿するんだな、分かった」って言ったのにその後おれを探してくれてたのか?
さすがコイチュビットおじさんの親友、底抜けに優しい

結局その日はそこから少し歩いたところにあったジョクバイの家に泊めてもらうことになった
ジョクバイの家は冷蔵庫やウイイレ、電気の点くトイレ(地味にキルギスの一般家庭でお目にかかったのは初だ)などのある超上流階級の家で、ゆっくり体を休めることができた

そして次の日
バルクチの町中を抜け、ついにイシククル湖が右手に見えるようになった

キルギス最大の観光地というだけあり、車通りがとても多く、歩道や馬用の道がほとんどなかった
…さすがラストダンジョン、そう呼ぶにふさわしい難易度のようだ

結局、湖の近くは草原になっていたようなので道路を避けそこを進もうとする
小川が多いことを不思議に思いながらも進むと、いつの間にか湿地に出てしまい、辺りは泥沼だらけに

…これは無理だな、戻ろう
そうは考えたものの、戻るのもなかなか難しかった
そして、「この小川を超えれば道路に戻れる」という地点まで何とか到着
セキルに乗ったまま渡ろうとすると、小川の真ん中辺りでセキルの体が大きく沈む
そして時間の経過と共にセキルの体はどんどん沈んでいく
…え、これ、セキル腹までどっぷりつかってるな
当然荷物袋の一部は水没
底なし沼ってやつか

順調にやばい

①おれも泥沼に沈む覚悟でセキルから飛び降り、二人で泳いで生還する
?セキルが泳げる可能性に賭けて、このまま何とか川を渡ろうとする
③動かなければ沈むのが止まる可能性があるので、動かずこのまま少し沈み、ゆっくりと岸まで移動する
④動かず助けを呼ぶ
⑤少し時間はかかるが、セキルの背中で立ってから飛び、おれだけでも無傷で向こう岸まで渡る

…さて

199 1◆0sA8GVLJwJ07 2017/12/20(水)12:47:00 ID:Aov
つづき
うーん、①は最終手段として、とりあえず?でいこうか…

そう考え、セキルに指示を出そうとしたその瞬間、セキルが先に動いた
やはり臆病なセキルにとってこの状況は軽くパニックになったようだ
今までに見たこともないような激しさで前へ前へともがき、かなり泥水を浴びながらもなんとか泥沼を抜け出すことが出来た!

そしてその後、小川に注意しながら2-3km戻ることで何とか元の道路に戻ることが出来た

…ううむ、少し難しいけど道路沿いを歩いたほうがよさそうだ

そして、狭い道を慎重に歩いていると雨が降ってきた
普段なら雨宿りして雨が止んでから再出発…というところなんだけど、今日は泥沼でセキルがかなり体力を使ってしまっただろうから、途中の荒れ地でテントを張って野宿することにした

星が綺麗だ

そして次の日
出発して少しして、鞭を失くしたのに気付く
戻ろうかと少し迷ったけど、最近ほとんど使っていなかったし、その辺で拾った木の棒で十分だと考えた
基本的にセキルは声だけで言うことを聞いてくれるので、もうしっかりした鞭は必要ないだろう

そして今日は午前中、初めて警察に止められた
最初は警察たちは一人旅が危ないと言っていたが、もう600kmほど旅したところだと言うと、なら大丈夫そうだと言って解放してくれた
警察と会う可能性の高いイシククルを最後にしたのが功を奏した感じか

そしてその後夕方、野宿場所を探している際に、仕事の関係で作業着を着て車中泊をする予定のトロンという男に出会う

家を所有しているわけでもない工場現場のトロンの声をかけたのには理由があった
彼はめったに出会えないレベルの「いい人オーラ」を身に纏っていたからだ
トロンは23歳、今1ヶ月の娘がいるようで幸せそうだった
トロンの車の近くにテントを張り、モカの体調チェックをしていると、前足の蹄鉄が半分とれていることに気付く

…まじか、昨日は大丈夫だったのに
まぁこの時点で600km以上は旅していたので、蹄鉄の耐久性的にはこんなものなのかもしれない
ただ、ここは小さな村なので蹄鉄はなく、あったとしても蹄鉄技師を探すのが大変だ
さてどうするべきか…

困っていると、トロンが「明日は25km程先のおれの家にこないか?蹄鉄が売っている店もあるし、何よりおれの兄は蹄鉄技師なんだ!」と、声をかけてきてくれた

ありがたく快諾し、トロンと一緒に食べ物を分け合いながら夕食を食べ、就寝
明日は蹄鉄が不完全なセキルを守るため、セキルを引いて25km歩くことになるだろう

200 1◆0sA8GVLJwJ07 2017/12/20(水)14:36:52 ID:Ef5
>>199
荒れ地で野宿のくだりの説明が足りてないなw
雨はしばらくすると止んだから夜は晴れてて星が綺麗だったんだ

201 名無しさん 2017/12/20(水)15:21:24 ID:Kz7
>>199
蹄鉄技師なんてそんなに都合良く見つかるのかw

204 1◆0sA8GVLJwJ07 2017/12/20(水)23:57:19 ID:Aov
>>201
まじで運良かったw
トロンが蹄鉄技師紹介してくれなかったら最寄りの街で蹄鉄技師見つかるまで滞在するところだったw

207 1◆0sA8GVLJwJ07 2017/12/22(金)10:42:58 ID:bpN
つづき
さて、今日はセキルの足への負担を考えて歩く日だ
おれの通常時の歩行速度は6km/h、セキルも6km/h、というわけでお互いがお互いのペースメーカーとなり、6km/hを維持することができた

この日も警察に止められたけど、昨日と同じようなやり取りをして終了
パスポートを見せるように言われたが、見せるだけで絶対に渡してはならない
警察の気分により何時間も拘束される可能性が十分にあるからだ
出発が遅れると安全な野宿ポイントを発見できない可能性があるのでかなり困る

さて、歩くこと4時間と少しで、トロンが教えてくれた蹄鉄が売っている店に到着

たった25km歩いただけなのにめちゃくちゃ疲れてしまった
当たり前だけど、このところ毎日セキルに乗っていた影響でかなり体力が落ちているようだ
…日本に帰ったらキックボクシングの師匠に鼻で笑われそうだ
…何とかしないと

※その後、対策は講じたけど結局鼻で笑われました


その後、トロンのお兄さんが来て、一緒に蹄鉄を選んでトロンの家へ
お兄さんはなんとたった300円ほどで蹄鉄を4つとも交換してくれた
ちなみにトロンは今日も夜間仕事があるようで、明日の朝家に戻ってくるらしい

トロンの家で夕飯をいただき、疲れ切った体で就寝

そして次の日
今日は蹄鉄を交換したばかりなので、セキルの様子を見ながら慎重に進む

ちなみにこの日から少しフリーランスの仕事をすることにした
次に企画している冒険の予算が、預金通帳額を少しオーバーしてしまったからだ
いつも海外では全貯金を使い切って帰ってくるんだけど、さすがに借金のある状態で帰ってくるとしばらくの間乞食生活が確定してしまう
冒険しながら働くのはなかなか面倒だが仕方がない

昼、3人の警察に出会う
一人はウォッカ臭く、おれからパスポートを力ずくで奪ったのでこちらも力ずくで奪い返した
もう一人は笑いながらセキルの顔をいきなり殴った
殴りかかりそうになったけど、身分証がある以上本物の警察だろうし、殴ってしまったら終わりだ

ここは我慢だ、セキル…
最終的にこの警官たちに計3回もパスポートを提示させられたけど、一貫した強気な態度(酒臭いやつとは話したくない 3回も見せなきゃいけないとかあんたら頭大丈夫か?的な態度)が効いたのか、結局10分ほどで解放された

208 1◆0sA8GVLJwJ07 2017/12/22(金)10:46:48 ID:bpN
夕方
警察に拘束された町から20km程はなれた町で、呼び止めてきたラフな格好のおっさんに安全な場所を訪ねることにした
でもその結果、なんと警察署に連れていかれてしまった

いや、警察はいいって…
おっさんはここなら馬もお前も泊まれると言っている
…いや、あんたが警察署の何を知ってるんだよw

仕方ないので覚悟を決め、中にいた警官に泊めてもらえないか聞こうとするも、警官が答える前におっさんが大丈夫だ!と言う
それに対して警官は苦笑いだ

…あれ、この反応ってもしかすると…

おっさん「私が警察署長だ」

その後、どうみてもメインの事務室の床に羊の毛皮を敷き、宿直係の若い警官と二人で寝ることになった

周りの警官と下ネタで盛り上がったけど、一人アナルが好きだというかなりガタイのいい警官が去り際にウインクしてきたのが気持ち悪かった
…うん、襲われたら勝てないな
彼が宿直係でなくて良かった…

というわけで就寝

次の日、のんびり準備する警官たちを急かしてセキルを外へ出すための鍵をもらい、朝9時出発

この日は特に問題もなく、休憩を2時間ほど挟んで38km離れた村に到着
馬具の扱いにもかなり慣れてきて10分以内に全ての準備が出来るようになったので、休憩中はセキルの装備を全て外す
この日は道中出会った、親切で強気なおばさんの家に泊まることになった

おばさんの家には冷蔵庫やiPadがあった
…ハイテクだ
娘はドバイに出稼ぎに出ているとのこと…
裕福な家庭のようだ

217 名無しさん 2017/12/22(金)23:25:56 ID:cax
フリーランスの仕事ってプログラミングとかですか?
あとそれってもしかしてセキルに乗りながらこなすのですか?
なんにせよすごいバイタリティで羨ましい

218 1◆0sA8GVLJwJ07 2017/12/23(土)02:02:34 ID:Jxg
>>217
道中は翻訳ばっかりだな
プログラミングだと後々フォローが必要な場合もあるから面倒なんだ
セキルに乗りながらだと事故るな、確実にwww
↓昼休憩とかの合間にこんな感じで仕事してたw

no title

221 1◆0sA8GVLJwJ07 2017/12/23(土)14:59:56 ID:Jxg
昼、雑貨屋でいつも通り生卵を購入しようとすると、雑貨屋のおばさんに
「あなたさっき馬に乗って来てた旅人さんでしょう? 火はあるの? 生のままじゃ駄目よ」
と言われてしまった

余談だが、生卵をボウルに割り入れる様に口に割り入れて食べるのがおれは好きだ
キルギス編ではだいたい毎日のようにやっていて、モロッコ編でもちょくちょくやっていた
白身の癖がなく飽きが来ない淡白な味と、黄身の濃厚で甘く体に染み渡るような味が口の中で広がり、一瞬幸せになることが出来る
サルモネラ感染のリスクがあるのはもちろん承知だけど、あれはウイルス性でなく細菌性感染型食中毒の原因菌だ
つまり、かなり乱暴な解釈にはなるけど、感染に至るまでには相当数の細菌が必要で、感染確率も個人の免疫力や体力などによるところが大きい
おれなら大丈夫だろう
実際おれはこれまで海外の生卵を何十個も食べてきたけど、食中毒になったことは一度もない
死ぬわけではない(健康で若ければ)し、そんな低確率なリスクを恐れてこの幸せを放棄するなんてこと、おれには出来ない

さて、生卵が食べたいとはいえおばさんに心配をかけるのも嫌だったので、
「おばさん知らないの? 日本人は胃腸が強くてみんな生卵でも大丈夫なんだぜ!」
と説明し卵を購入

今後、この嘘のせいで現地人に生卵食わされた人がいたら申し訳ないけど、キルギスの常識観から考えてそれは起こらないだろう

その後、生卵を補給してから再出発し、主要道路から少しそれた民家の前のスペースでテント泊することにした
民家の主人はおれと同い年だが3歳の息子と6歳の娘がいてとても幸せそうだった

さて、次の日
以前、「この近くの山奥に温泉村がある」という情報を得たため、寄っていくことにした
つまり山登りをする日だ
そしてこの日の朝、なぜかセキルがこれまでにないほど元気だった
元気があるということはその分驚いたときの動作も大袈裟になるため、トラックが来る度飛び跳ねるように逃げ惑う
元気すぎだぞ!w
今日は登山があるので絶好調なのはありがたいけど、元気すぎるので適度に走らせて落ち着かせることにした

そして昼過ぎ、温泉村がある山の麓の村に到着
昼休憩をしてから、登山開始!

no title

223 1◆0sA8GVLJwJ07 2017/12/23(土)15:37:02 ID:Jxg
つづき
山登り中、セキルと一緒に歩こうか迷ったけど、万が一の非常時におれの体力が余っていた方がいいと考え、セキルに乗っていくことにした
想像以上に道は険しく、岩だらけの道、川が横切っている道、超急勾配の道などがあった

それでもセキルは持ち前の体力で17kmの道を歩き、辺りが薄暗くなってきた頃ようやく温泉村、アルティンアラシャンに到着!

ちなみに野ざらしの温泉が2つほどあると聞いたのでそこで野宿しようかと考えていたんだけど、途中の道はセキルが何とか通れる程度の崖沿いの細い道で、辺りが暗くなってきていたため危ないと判断し断念

普通に村で営業してる温泉を利用することにした

石造りの個室温泉だ
外国らしい雑さで、風呂の脇にはメンテナンスに使ったであろう工具が置かれていた

no title

久しぶりすぎる風呂!
何ヶ月ぶりだろう…
丹念に体を隅々まで洗う

隣の個室風呂には外国人観光客のカップルが入浴中らしく、フランス語で喘ぎながら互いの情熱をぶつけ合っている最中だった

…あの、そういうのやめてもらっていいっすか?w

うむ、今は我慢だな、いろいろ


入浴後、テントに帰るまでの道で、星空に感動して立ち止まる
とても綺麗だ
凍てつくように寒いけど、温泉に入ったのでしばらくは大丈夫だろう

その後、テントに戻り、以前恵んでもらったポテチを食べて空腹を満たしてから就寝

224 名無しさん 2017/12/23(土)15:41:30 ID:QnF
星空綺麗だろうな

226 1◆0sA8GVLJwJ07 2017/12/23(土)16:05:11 ID:Jxg
>>224
海の空、砂漠の空、山の空
色々あるけど綺麗さで言えば山の空が一番だと思ってる
それでもやっぱりおれは砂漠の空が好きなんだけどな

225 名無しさん 2017/12/23(土)15:45:11 ID:gTX
風呂は石造り?それとも鉄筋コンクリート?

226 1◆0sA8GVLJwJ07 2017/12/23(土)16:05:11 ID:Jxg
>>225
あ、これコンクリートだなw
ごめん間違えてるww

つづき
次の日
明け方、あまりの寒さに目を覚ます
この日はアラコル湖へ行くかどうか、かなり迷っていた
アラコル湖は温泉村から更に登ったところにある、エメラルド色の湖だ
ただし、最後の岩山は馬では登れないらしく、途中でセキルと別れなければいけないらしい
結局、セキルと一緒に最後まで行けないんじゃ意味ないしリスクもあると考え、真っ直ぐ山を降りることにした

超快晴、下山日和だ!

no title

下りはそこまで苦労せず、順調に麓の村まで降りることができた

一眼のバッテリーが残り少ないのに気付き、昼休憩中、雑貨屋のおばちゃんに頼んで充電をさせてもらう
ありがたい

夕方、カラコルという大きな街を通過
アルティンアラシャンやコチコルは有名な場所なので、検索するとすぐ出てくると思う

大都市はリスクしかないのでさっさと通過しようとセキルを急かしていると、あるものが目に入り、思わずセキルを止まらせる

no title

生………サーカス………

動物……いっぱいいるんだろうな……
何がなんでも、行きたい…

都市での滞在は危ないと分かりながらも諦めきれず、とりあえずチケット売り場へ行って公演時間などを聞くことにした

チケット売り場にはチケット売りのお姉さんの他にキツネザルがいて、お姉さんの肩や膝の上で元気に動き回っていた
サーカスのチラシにはライオン、豹やゴリラ、蛇などの写真が載っていた

いっ……行きたい!
…でもその選択の結果、セキルに被害が及んでしまうかもしれない…

当時のおれの心中

no title

いぎたいっ!

227 名無しさん 2017/12/23(土)16:18:24 ID:QnF
どんだけ動物が好きなんだ

230 1◆0sA8GVLJwJ07 2017/12/23(土)16:35:34 ID:Jxg
>>227
動物含め、自分に出来ないことが出来る存在って大好きだ
あとおれ、移動式のサーカスで雑用とかしながら働きたいってずっと思ってるんだ
小中学生の頃夢中で読んだ「ダレン・シャン」って本に影響されてるんだろうなw

228 名無しさん 2017/12/23(土)16:19:08 ID:jsg
卵は栄養あるけどビタミンCは入ってない
ビタミンCは何から摂ってるの?

230 1◆0sA8GVLJwJ07 2017/12/23(土)16:35:34 ID:Jxg
>>228
日本からマルチビタミンの錠剤持ってきてるw
おかげで健康上は大した問題もなく過ごせたよ

229 1◆0sA8GVLJwJ07 2017/12/23(土)16:34:47 ID:Jxg
しかし
終演まで見ていたら外は真っ暗になるだろうし、結局その場で安全な寝床を確保することが出来ず、結局、歯を食いしばりながら断念
ダメ元でサーカス関係者に、サーカス敷地内に一晩馬を繋いでいていいなら高いチケットを買うと言ってみたがダメだった

残念過ぎる…

でも、ウィンナを始めとするおれの仲間が都市でひどい目や危ない目にあったことを思いだし、セキルの安全のためと、そのままカラコルを抜け隣の小さな村へ

その村は排他的な雰囲気の村だった
なかなか寝床が見つからなかったけど、その日は運良く心優しい家族と出会うことができ、セキルに安全な場所とたくさんの食料を用意してやることができた
ついでにおれも室内で寝られたため、体力回復出来そうだった

次の日は、特に何事もなく、平穏な日だった

このところセキルは絶好調
おれが乗った瞬間に歩き出すのは、セキルの体力が余っているサインだ
あと200kmほどでゴールだから、冒険後はさぞかし力を持て余すことだろう

夕方、村にいたクバという男の家に泊まることになった
クバの家には室内に子猫がいた
なぜいるのか聞いても分からないという

no title

名前もないその猫に対して、まだ小さいこともあり、何となく餌をやっているとのことだ
そりゃあこんなにかわいい猫なら守ってあげたくなるのが自然だろうと思ったけど、キルギスではペット文化は基本ないから当然の思考なのかもしれない

そして次の日
この日は全体的に上手くいかない日だった
仕事が入っていたり、昼食中にヤク中の男がしつこく麻薬を薦めてきて移動せざるを得なくなって時間を食ったり、GPSがうまく動作せずドローンの撮影に失敗して時間を無駄にしたり、今後の予定について考える時間が上手くとれなかったり、色々だ

こんな日はあまり何も考えずに寝るべきなんだろう
就寝

次の日
この日も特に大きな出来事は無かったけど、自転車で旅するチャリダーさんに何人か会ったり、コーラやパンの差し入れをいただけたりした
どちらもイシククル湖南側に来てから急に起こり始めたことだけど、何故だろう、時期だろうか?
今回はモロッコ編と違って行商とかもしてないからカンパとか期待してないんだけど、この辺りの人はなぜか優しくて何かしら恵んでくれる
有り難いことだ

夕方、外国人用のアパートやホテルが建ち並ぶ村に来てしまった
民家などもなく、この辺りで野宿するとさぞかし目立つだろう
なので村を抜け、郊外のガソリンスタンド裏の荒地で野宿することにした

最近寒くなってきたけど、もう少しでゴールだ!

写真はイシククル湖

no title

236 【1495円】 2017/12/23(土)18:52:07 ID:Bk9
>>229
日本であんまり見ない感じのネコだな
野生っぽいというか

262 1◆0sA8GVLJwJ07 2017/12/25(月)13:22:23 ID:L0t
>>236
まぁそもそも野生に近いのを拾ってきただけだろうしなw
こっちでペットなんて極稀だからそもそも日本の間隔での野良猫ってのは少ないかも
日本の猫よりも野生に近い状態なんじゃないかな

231 1◆0sA8GVLJwJ07 2017/12/23(土)16:56:19 ID:Jxg
つづき
次の日
この日もセキルが絶好調だったため、長距離移動することにした
いつものことながら、セキルはアスファルトや砂よりも草地の方が楽しそうに歩く
これが終わったら放牧地で好きなだけのんびりしろよ!

昼食は生卵とパンとマヨネーズ
いつもの食事だ

夕方、牛を放牧していたカムチャッカ族出身の老人と出会い、家に泊めてもらうことになる
カムチャッカ族
漫画脳のおれとしては銛を持った青い髪の巨人しか思い浮かばないけど、なんせロマンの塊だ

家に着くまでの間、セキルに乗って牛を追い立てるのを手伝う
カウボーイになった気分だ!

no title

そしてその後、老人の息子で日本が好きな青年ベッククルと出会い、お互いのことについてたくさん話し、就寝

さて、次の日
コチコルまでもう少しだ

この日の午前中に、これまで歩いた距離が1000kmを越えた
セキルとの連携はすこぶる良好で、セキルはおれが声を出さなくても周りの状況や手綱の引き方で判断して行動してくれるようになっていた
あと、そこまで練習したわけでもないのにバックも出来るようになっていた
だいぶシンクロ率高くなってるみたいだ

そして途中、小さな村で昼休憩
予定通り進めば、村での昼休憩はこれが最後になるだろう
生卵と冷たいオレンジジュースを噛み締める

そして、出発
旅に出た頃は30分以上かかっていた馬具や荷物袋の取り付けも、今は5分くらいで安定して行えるようになった

そして夕方、遊牧できそうな草地に囲まれた村に到着

no title

村の郊外にテントを張り、買い物に行こうとしていたところでウクという男と出会い、結局なぜかウクの友人の家に泊めてもらうことになった

ありがたい

233 名無しさん 2017/12/23(土)17:32:59 ID:g8z
今は世界最大の団でも潰れるからサーカスは見れなくなるかもしれん。

234 1◆0sA8GVLJwJ07 2017/12/23(土)18:25:16 ID:Jxg
>>233
冒険できる世界がどんどん狭くなってきていることにも関連している気がして、悲しいなぁ
いつしか大型肉食獣の調教とかがロストテクノロジーになるんだろうか…


そろそろセキルとの冒険は終わってしまうから、動画でも貼ろうと思う
https://drive.google.com/file/d/1QBmLR7ftGV_mn0AzJm0CSg2hjw0HsGdh/view?usp=sharing
イシククル湖南岸で撮影
これがセキルの早歩き
上下に揺れるから、襲歩(全力疾走)の方がまだ快適だ

237 kawajun 2017/12/23(土)19:56:22 ID:HOD
>>234
海かと思うくらい、広くて綺麗な湖ですね! 周囲も開けてて
日本とは広大さの感覚がやっぱり違うなぁ。

262 1◆0sA8GVLJwJ07 2017/12/25(月)13:22:23 ID:L0t
>>237
猫可愛すぎたし、クバに「連れて行くか?」って言われたw
この猫既に幸せそうだったしセキルとの冒険ももう終わるしで断ったけどw

235 名無しさん 2017/12/23(土)18:45:11 ID:mTT
湖綺麗すぎて海かとおもた

262 1◆0sA8GVLJwJ07 2017/12/25(月)13:22:23 ID:L0t
>>235
ほんとに綺麗で透明度高かった!

239 1◆0sA8GVLJwJ07 2017/12/24(日)00:11:00 ID:E55
つづき
さて、今日でコチコルの手前の村までいくので、実質今日が最終日のようなものだ

大型トラックが来ると、「殺される!」とでも考えているのか、慌てて道路脇の茂みや荒れ地へと飛び込むセキル
車が来て怖かったり、急勾配の坂を登らないといけなかったりした後に「ふん!」といわんはかりに鼻を鳴らすセキル
1分ほどかけて美味しそうに水を飲むセキル
歩きながらトイレを済ませるセキル
いつのまにかやって来ていつのまにかいなくなっている小バエの群れ

明日には、もう二度と見れない光景になっているだろう
それこそ夢のように

でもそれは、停滞を望まない以上仕方のないことだ
前に進もう

この日はかなり風が強く、少しだけ雨がぱらついたこともありかなり涼しい日だったのでたくさん歩く事ができた

夕方、何とかコチコル手前の村に到着
セキルにとって良さそうな場所を探して村を歩いていると、トルゴンという男と会い、家に泊めてもらえることになった

…本当に、最後の最後までキルギスの人たちは親切だ
今回の冒険では助けられっぱなしだったな…

いろんな思いが溢れる中、疲れが勝り、就寝

240 1◆0sA8GVLJwJ07 2017/12/24(日)00:11:23 ID:E55
そしてやって来た最終日
ついにこの冒険の終わる日がやってきた
朝、ゆっくりと準備し、セキルの体調を確認し、セキルと共に出発する

残りはあと10kmほど
ゆっくり歩いても2時間くらいで終わってしまう

残念だけど、別れは必ず来るものだから、仕方ない

道中、これまでのセキルとのたくさんの思い出に思いを巡らせながらゆっくりとセキルを歩かせる

キルギスに到着する前は、今回の冒険は楽勝だと思ってた
でも、いま思い出してみると車や崖や酔っ払いが危なくて何度も死にかけたり苦労したり、かなり大変だったな…
それでも、毎日セキルに乗って旅をして、綺麗で壮大な景色をたくさん見て、たくさんの心優しい人々と出会って、楽しかったなぁ
セキルを全力疾走させている間は、バイクや自転車とは全然違って、風になれたような気分になる
すごく気持ちよくて、癖になったなぁ

おれ一人で冒険してたんじゃ、こんな経験はできなかった
セキル、ありがとう!

そんなことを考えていると、「Go!」という声が聞こえてきた
顔を上げると、小川を挟んだ対岸にコワンの息子で11歳の少年、アルセンがいた
…どうやら思いのほか早くゴール地点、コワンの家の辺りまで来ていたらしい

その後、アルセンと一緒にコワンの家まで行くとコワンの奥さんが出迎えてくれた

こうしておれは、ついにセキルとゴールへたどり着くことが出来た!!!

no title

あぁ、疲れた!
1,2ヶ月、ゆっくりと休みたい!

…とは思うものの、実際のところまだまだ終われないw
まずはセキルが幸せに暮らせるように、取り計らわないと!
これまでの道中セキルに助けてもらったせめてもの恩返しをしよう!

no title

241 名無しさん 2017/12/24(日)00:20:00 ID:yKD
馬飼えたら最高だろうなぁ

262 1◆0sA8GVLJwJ07 2017/12/25(月)13:22:23 ID:L0t
>>241
こっちだと日本の乗馬クラブの入会金くらいの金額で買えるぞw
馬可愛いぞ!

243 名無しさん 2017/12/24(日)01:26:24 ID:ggu
ほんと すげー綺麗だなあ
雄大だ!

262 1◆0sA8GVLJwJ07 2017/12/25(月)13:22:23 ID:L0t
>>243
海外を一人+動物で野宿旅すると不思議な世界が見えてくるから大好きだ!
浮世離れした感じ

246 名無しさん 2017/12/24(日)04:46:23 ID:zIu
セキルとの冒険まもう終わっちゃうなー
寂しいけどほんと大冒険!!
また旅に出て書いてください!!
楽しみにしてます!!

262 1◆0sA8GVLJwJ07 2017/12/25(月)13:22:23 ID:L0t
>>246
ありがとう! 楽しみにしててくれ!

251 名無しさん 2017/12/25(月)10:06:37 ID:TR7
ゴールおめでとう!!!
お疲れさま!
涙脆いのでセキルとの別れを想像するだけでヤバいいいい

264 1◆0sA8GVLJwJ07 2017/12/25(月)13:41:45 ID:eYf
>>251
ありがとう!
今回セキルにとって良さそうな進路にしてあげられてよかった!

252 名無しさん 2017/12/25(月)10:18:26 ID:0O8
もうゴールかぁ...
お疲れ様でした!

やっぱりGoさんの旅(冒険)は聞いてて見てて面白い。
自分が旅をしてるようだ...

264 1◆0sA8GVLJwJ07 2017/12/25(月)13:41:45 ID:eYf
>>252
ありがとう!
文章力を高めてもっともっと臨場感のある文章が書けるようになるぜ!

253 1◆0sA8GVLJwJ07 2017/12/25(月)12:30:17 ID:L0t
つづき
荷物や馬具をセキルから外して屋内へ運び、客人用の部屋で奥さんと話す

おれ「おばさん、コワンは今どこにいるんだ?」
奥さん「今はビシュケクへ行っているわ。古い車を売って、新しい車を買っているのよ。夕方には戻ってくるわ」


…なんとタイミングの悪い
そう思った

なぜなら、おれはセキルをコワンに売るつもりでいたからだ
貯蓄なんて途上国の人々はしないし、今まさにほぼ全財産を使って新車を買っているだろうから、セキルを買う余力がない可能性が高い

ちなみにおれの冒険後にセキルを買いたいと言っている人はコワン以外にもいて、Uおじさんの家とトロク村のコイチュビットおじさんの家がそれぞれ買いたいと言っていた
値段は両者とも4万5千ソム(日本円だと7万円と少しだ)ほど

子供たちがたくさんいて賑やかで、しっかり世話してもらえるであろうUおじさんの家
広大な平原が広がるトロク村にあるトイチュビックおじさんの家

それぞれ利点はあったけど、総合的に考えてコワンの家が最善だとおれは考えていた
コワンの家には冬を越すための家畜用食糧の備蓄があり、何よりコワンの父親が獣医なので、セキルは何の心配もなくのんびりと過ごすことができるだろう
毎日セキルを遊牧していた場所も広大な平野で、水も豊富
コワンの家には子供たちもいるので、セキルは長くかわいがってもらえるだろう

そしておれは、コワンにはできる限り高くセキルを買い取ってもらおうと考えていた
理由は、「かなり金をかけて買い戻した」という記憶がコワンにあれば、セキルをより大事に扱ってくれるだろうと考えたからだ

動物を連れて冒険するのがおれの基本的な冒険のスタイルになっているので、「動物との別れをどうすべきか」、これはおれが冒険をしていく上で避けては通れない、考え続けなければならない問題だ
そして、この問題に対する結論ではないけど現段階でのおれの回答は、「動物たちを、仲間として迎えた時よりも少しだけ良い環境にしてやってから別れる」だ

なので、買い戻したことによりコワンがセキルを以前よりも少しだけ大切にするようになったなら、その条件は満たせたと言えるだろう

254 1◆0sA8GVLJwJ07 2017/12/25(月)12:32:15 ID:L0t
さて、夕方コワンが帰ってきて、夕食の時間になった
車を買ったからなんだろうけど、夕食はかなり豪華で、普段はいない兄弟や親も食事に同席していた

…この状況はチャンスかもしれない、と思った
コワンは大金を支払ったばかりで更に今は疲れているだろうから、セキルを売る交渉は明日しようと思っていたんだけど、この状況なら子どもたちが自室に帰った後にこの場で切り出した方がいいかもしれない
親兄弟がいる場なら常識外れ過ぎる劣悪な提案はそうそう出来ないないだろうし、おれが提示する金額を用意できない場合でも、親兄弟が工面したりアイデアを出したりすることで何とかなる可能性が高い

…よし、子どもたちはもういないから今仕掛けてみよう!

おれ「…で、コワン。マキシムス(セキルの前の名前)をいくらで買い取るんだ?
この前の時点での市場価格は7万ソム(コワンは動物市場での価格を参考にセキルの値段を決めると言っていた)って言っていて、あれからまだ3週間ほどしか経っていないけど、今はいくらなんだ?」

セキルの能力を客観的に見ると、鞍も含めるのでどんなに安くとも4万5千ソム(7万円と少し)以上で売ることが望ましい
この辺りを最低目標値としよう
※1万ソム≒1万6千円

コワン「4万ソムだ。」
ふざけんなよwww

…さぁ、交渉開始だ!

おれ「4万ソム?嘘だろ?なら鞍はいくらで買い取ってくれるんだ?」
コワン「山で遊牧していた馬が一斉に帰ってきたから市場での価格が急落したんだ。
鞍はいらない。」
おれ「全部でたったの4万ソムか?それなら他の希望者に売ることになると思うぞ?
鞍があればあんただけじゃなく子どもたちも馬に乗れると思うんだが」
コワン「鞍を買い取るとしても2千ソムだ。合計4万2千ソムなら出そう」(鞍は市場で5千ソムで購入したものだ)

…なかなか強気だな、コワン
他にセキルを買いたい人がいるというおれの情報を疑っているのかもしれない

おれ「そうか、とりあえずこの家での値段については理解した。ほかの希望者をあたってみるよ」

「金を出す奴に即売る。それ以外の基準はない」というようなドライな雰囲気を出し、おれは席を立ち外でUおじさんやトイチュビックおじさんに電話をかける
去り際、コワンが一瞬悲しそうな顔をしたのがちらりと見えた
自分のものだと考えていたセキルがいとも容易く他人の手に渡ろうとしている状況に実感が追いついてきたんだろう
新車買ったばかりで金ないのはマジだろうし、少し心苦しい

255 1◆0sA8GVLJwJ07 2017/12/25(月)12:33:35 ID:L0t
…でも、もちろんこれらは全て、コワンに高く買い取ってもらうための演技だ
セキルが一番幸せになれそうなのはコワンの家だと判断した時点で、どんなに安くともコワンに売ろうと決めていた
でもどうせなら大切に扱って欲しいし、今回は高く売ろうと考えたのでこんな茶番をやっている訳だ
ただし、あまりに高い金額を提示してしまって、一度でも「じゃあいらない」と言わせてしまってはいけないだろう
一度でも諦める覚悟をしたものの価値はその人の中では下がってしまうだろうから、一度も「いらない」と言わせずに買わせることが必要だ
…ただ売ればいいわけじゃない、結構デリケートな交渉だ

2人に電話をかけて世間話をしていると、息子のアルセンが呼びに来た

アルセン「Go!お父さんが話があるって!」

…よし、ここまではいい感じだ

呼ばれてすぐに行くとその後の交渉がやりにくいので、しばらく電話で楽しく話し、電話を終えてからコワンの元へと戻った

おれ「コワン、何だ?」
コワン「Go、もう売ったのか?」
おれ「いや、他の希望者たちはみんな、今日は家族と相談して明日買い取り価格をおれに提示するってさ
でもおおよその値段を聞いた感じだと、さすがに4万2千ソム以上にはなると思うぞ?」
コワン「そうか…」

コワン「それでGo、いくら欲しいんだ?」

さぁ、ここが正念場だ
「そんなに高いならいらない」を言わせてはいけない
その上でできる限り高い金額を提示しなければいけない

ただ、このコワンの弱気な雰囲気なら…

256 1◆0sA8GVLJwJ07 2017/12/25(月)12:34:47 ID:L0t
おれ「5万5千ソムだ」
コワン「はは、高いって。そんな金、今うちにはないんだ」
おれ「でもその位出さないと他の希望者が買うと思うぞ?」
コワン「山から下りて来た馬が今はたくさんいる。
前に行った動物市場ではマキシムス(セキルの前の名前)ほど大きい馬はいなかったけど、今はたくさんいるんだ」
おれ「でも、市場で買う気はないだろ?
マキシムスほど大きくて強くておとなしい、それが保証されている馬をたったの5万5千ソムで買うっていうのは、たとえ馬がたくさんいる動物市場でもいい買い物、だろ?
なんたってこいつは100kg近い荷物を背負って1000km以上踏破した、ずば抜けて強い馬なんだから!」

コワン「…」

…よし!

コワン「わかった。5万5千ソム出そう。
ただし、今それだけの金がないのは本当だ。
だから、今4万5千ソム支払って、2ヶ月後に君の日本の銀行口座に残りの1万ソムを送金する…でもいいか?」

259 1◆0sA8GVLJwJ07 2017/12/25(月)13:07:36 ID:L0t
つづき
…まぁ、新車買ったばかりだし、3児のパパで金は何かと必要だろうしでそこまで大金は用意できないか

おれ「わかった。ただ、おれは次の冒険があって、2ヶ月後もこの辺りにいる予定だから、2ヶ月後に直接家に行って金を受け取るよ。
あとその内容を紙に書いてサインしてくれるならおれとしては問題ないかな」
コワン「わかった、そうするよ」

交渉成立だ!

後から聞いた話だけど、アルセンが「馬買ってくれないとヤダ!!」ごててくれたそうだ
おかげで予想より少しだけ高値で売ることができた
今日の夕方やらせてあげた乗馬体験が聞いたんだろうか
長女のアッデリーナと2人がかりで全くセキル動かせてなかったけど…w
動画:空気を読むセキル
https://drive.google.com/file/d/1YHUm3yCv1vdEZKCCpwnB1idmlG3lzA7T/view?usp=sharing

イスラム教では基本的に子どもの意見は全く尊重されない
でも今回は、コワンの家が上流家庭で、普段子どもたちにかなり愛情を注いでいたからこそアルセンの声が通ったと言える

その後、コワンから4万5千ソムを受け取り、おれはセキルと別れを告げ、次の冒険へ旅立った

…ま、セキルには1万ソム受け取りに来るときまた会えるしな
こうしておれのセキルとの冒険は本当に終わりを告げた

ちなみにコワンとUおじさんには一眼で撮影した写真をプレゼントし、次の日の朝、ナリンで久しぶりに出稼ぎに来たチョルポンおばさんとアイベック会うことができた
アイダールは仕事が終わっているはずだけどまだトロク村に帰っていないらしい
まだ19歳だし、ビシュケクで遊んでるんだろう

とりあえずまずは世話になったトロク村へ行こう
トロク村の皆との再会が楽しみだ

そして実は、まだまだおれのキルギス滞在は終わらない
次の冒険に呼ばれてる気がするからだ!

おれは、意気揚々とトロク村へのタクシーに乗り込んだ

おしまい

no title

260 名無しさん 2017/12/25(月)13:10:25 ID:Ay0
大団円か おつでした

264 1◆0sA8GVLJwJ07 2017/12/25(月)13:41:45 ID:eYf
>>260
ありがとう!

261 名無しさん 2017/12/25(月)13:21:59 ID:C7x
おつかれー
たのしかったです!

264 1◆0sA8GVLJwJ07 2017/12/25(月)13:41:45 ID:eYf
>>261
ありがとう!
楽しんでもらえて嬉しいよ!

263 名無しさん 2017/12/25(月)13:29:24 ID:gC5
お疲れ様 セキルも幸せに

278 1◆0sA8GVLJwJ07 2017/12/26(火)04:54:30 ID:zCR
>>263
ありがとう!
セキルは安泰そうだから良かった!

279 sage 2017/12/26(火)08:47:50 ID:hGv
今回も最高だった。
特にドローンはいいね。雄大さがよく伝わる。
ちなみに機種はなにを使っていますか?
あんまり大きいのは持っていけないよね。

284 1◆0sA8GVLJwJ07 2017/12/27(水)13:59:39 ID:bjp
>>279
Parrot社のBEBOP2だ!
小型ドローンではないから純正ケースだとバックパックに入らないw
結局耐衝撃のケース自作したw

no title

283 kawajun 2017/12/26(火)17:17:25 ID:EnM
お疲れ様でした! セキル、大事にしてもらえるといいな。
次は狼と鷲! 動物マスターにどんどん近づいてますね。
楽しい冒険記をありがとう! 次回も楽しみにしてます??

284 1◆0sA8GVLJwJ07 2017/12/27(水)13:59:39 ID:bjp
>>283
動物マスターwww
確かにかなり経験値は溜まってきた気がするw



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引用元 http://hayabusa.open2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1512553972